ハマシギは1996年で1位 藤前、2位 諫早、3位 汐川(三河湾)で貴重な干潟であることは間違いない。
評価書が確定して、公有水面埋め立て許可、そして環境庁長官の意見への段階に入っている。
IAIAや環境改革行政フォ−ラムでは、実施アセス(事業アセス)の欠陥、つまりプログラムアセス(計画アセス)の問題としてとらえる考えが強いが、その前に明らかにしておくべき問題が多い。
現況調査計画書の段階で、審査会、住民とも渡り鳥調査計画のズサンさを見過ごした。
事前にアセス計画を公表するこの手続きは、後での手戻りの困難を防ぐために入れてあったのに、風化してしまっていた。これは、アセス法で方法書として取り入れられたが、精神を忘れると、アセス法でもこのようになるとの教訓。
(2)審査会の運営でもたついた
アセスは意思決定のためでなく、そのための材料提供、その観点から採用した独任制・ゼミ方式の審査が生かされなかった。
新条例では審査会が構成される(会長をおく)。
専門家不十分の問題
生物の専門家は細分化されており、シギの専門家などを揃えるのは不可能
専門委員の委嘱の道はある
本来、各専門分野にこだわらずト−タルの立場で審査すべきである
(3)特徴ある公聴会の運用制度が生かされなかった
2ラウンド制の特徴が生かせず、次のように議長の運営に誤りがあった
強圧的な閉会宣言、市長の裁定でやり直し、及び腰の進行
住民に連携プレィがない
なぜ住民投票の動きがないのか
新条例では、審査委員が公聴会に出席することになる(大丈夫か?)
環状2号線アセス(1981)の失敗あり
実施調査計画書、審査会の構成、公聴会の運用方式はともに要綱制定時に島津が入れさせたものであるが、風化してしまった。
問題になる事例がなかったせいかも知れないが、1981年の環状2号線では威力を発揮した。
但し、このことから島津は審査委員を外された
(4)追加調査でもたついた
エンドレスになる恐れそのために方法書がある
1年間24回のデ−タを要求されるまで出さなかった
準備書が出たのは平成8年、上記の調査は平成6〜7年に行われている
保護団体との主張の食い違いについては共同調査したらよかった
地区別個体数の比率を利用率とよぶ(保護団体とは分母の違いだけ)
コンサルは追加調査を喜んでいる
(5)「影響は明らか」の審査結果は珍しい例
渡り鳥の利用率「平均値でなく極端値」による審査結果は妥当
審査の対象として環境保全措置の提示を要求をするべきであった
名古屋市でも評価書提出時の審査前例あり
アセス法では、事業者が保全措置を具体的に記載しなくてはならない
住民のアセス観とのギャップ
アセスは事業実施の意思決定ではない
(6)MITIGATIONとしての人工干潟は言葉だけではダメ
人工干潟に実現性あるか?
なぜそこは干潟にでないのかが重要
干潟が存在するには、流入土砂と流出土砂とのバランスが必要、窪みに土を積んでも、流出を防ぐために柵で囲うか、常に盛土をしなくてはならない
これでは安定した生態系は維持できない
これまでの事例で最大なのは 22ha で、今回はその2倍ある
しかもこの事例では生態系が安定していない
人工干潟を作っても、現在の土木技術は1000年の寿命を考えてない
維持経費のことを考えたら、到底算盤に合わない
(7)代替地を探す努力をしたか
新条例ではその経過を「事前配慮」として方法書に記載する必要あり。
南5区の広域産業廃棄物処分場は搬入が少なくて空いている。そのため一般廃棄物の持ち込みをすることにしている位。
西5区は20年放置していたのに、今年2月になってゴルフ場として着工している(どうみても代替地防御対策である)
(8)なぜここにこだわるか
新南陽処分場の建設稼働に伴う現南陽処分場(ともに藤前にあり、干潟全面の堤防に接している)の運転停止要求のため、市は停止することになった。
ここでは日900トン、年に5万トンを焼却しているが、市全体の年100万トンの5%が処理不能になる。
南陽処理場の焼却灰は藤前干潟への廃棄物の50%を占めることが予想され、処理場と処分場とは一体のものと計画されており、これも別の場所を探したがらない理由ではないか。
アセスで処分場からの排水について明示していないのが問題であるが、日光川上流の下水処理場にポンプアップするものと考えられる。
このこともこの場所にこだわる理由か。
(9)そもそも干潟には所有権がないはずなのに、明治時代に原野として私有地になっており、それを不動産会社が転がし、結局1993年に市有地になっている。
1898 原野(水田として利用と主張)として登記その後転売が繰り返される。但し公図は存在しない
1966 不動産会社がまとめて取得(港湾整備をあてこむ)
1993.7 土地開発公社港湾設備のために購入117ha1平米400047億円
1997.7 市が土地開発公社から57億で買い戻し(金利分として10億円を上乗せ)(アセスがはじまってから後であることが問題)
1998.10 公有水面埋め立て法の申請には市の所有権放棄が必要申請に必要な公図なという矛盾がおこっている
(10)万博と異なり、住民投票運動がない
地元住民は、堤防強化などの対策を前提に同意しており、一部の反対住民400名が住民投票をしようとしている(条例請求とは別のもの)
98年度日進市市民講座での住民参加投票ブ−ムの結果を示す。
地元住民そのものでないので、かえって客観的に見ている可能性がある。
ここでは責任の所在によって3つに分類しているが、市長、市議会、地元住民を一つにくくったことには問題があるかもしれない。
()は総点を1000点にした場合の各投票の得票
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1000 (254) アセスのミス (環境保全局の責任) |
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2000 (292) 事業者の責任 (環境事業局の責任) |
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3000 (454) 市の責任 (市議会・市民を含む) |
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最大の問題になった渡り鳥への影響について,今年3月の名古屋市の審査会答申では「影響は明らか」とし,7月の愛知県の審査では「影響が想定されるので,損なわれる環境と同程度の効果をうる措置を求める」と突っ込んだ表現をしていたが,「影響が小さい」との準備書の結論を改めたものの,評価書では「シギ・チドリ類では採餌環境の減少が考えられる。従って,既存干潟の部分的改良などを検討し,影響を軽減するようつとめる」としている。しかし,具体的な代償措置の内容については触れておらず,問題を先送りにしたままである。それなのに,翌日の21日に,事業者は事業予定地沖側の38.2haの水面下部分をかさ上げして人工干潟とする計画を発表している。このことをどうして評価書に含めなかったのか不思議な話である。さらに同じ21日には次のステップである公有水面埋め立て免許の手続きを開始するという手際の早さが目立つ。もっとも,アセス手続きはこれで終わるわけではない。これだけの問題を抱えているのだから,埋め立て免許の後,所管の運輸大臣が環境庁長官の意見を聞くと思われるからである。このアセスは従来の手続きに従って行われたが,環境庁では新しいアセス法の精神を先取りした立場で意見をいうといっている。その場合,環境保全措置の内容が対象になり,人工干潟の実現性が問題になることは間違いない。21日に,環境庁長官は,アセス手続きとは別に非公式な協議の場をもちたいと述べている。
代償措置である以上,人工干潟は形状も機能も自然干潟と同等でなくてはならないが,干潟といえば渡り鳥が来る所として知られている。渡り鳥に限らず鳥が集まるのはエサがあるからであり,ゴカイや貝を代表とする底生生物がいるからである。つまり,生態系が成り立っていることが干潟の条件である。そして,干満に応じて海水が出入りすることから,底生動物及びバクテリアによって有機物が分解され,いわゆる浄化機能をもつ。生態系の存在と機能がすべて満たされた場合に,代償措置としての人工干潟が認められよう。根本には自然干潟がなぜ限られた所にしか存在しないかを考える必要がある。すなわち,よそからの底泥の堆積と浸食とがバランスし,かつ海水が自由に浸透する状態で干潟が成立するのであるから,干潟でない所,つまり底泥の出入りがバランスしていない所に干潟を作ろうとすると,壁で囲って浸食を遮断するか,常に新しい砂泥を補給するとかしなければならない。逆に堆積が勝てば常に浚渫しなければならない。そして,これらのこと自体が生態系そして浄化機能の成立を妨げることになり,水深のことだけ考えてあれこれと個別の技術を投入しても,もとから干潟でない所での代償措置の成立条件はそもそも小さいのである。
藤前干潟のアセスは, 干潟の消滅と人工干潟の可能性との問題として有名になった。しかし, アセス手続きそのものの面でもいろいろの教訓を与えている。すなわち, 現況調査計画書という, 新しいアセス法に方法書ととして取り込まれた先進的な手続きを持っていたのにそれが機能せず, 渡り鳥調査計画の不備を事前に正せなかったこと, 専門家の意見を尊重するために作られた独任制という審査会の特色を生かせず, 結論を出すのに非常な時間がかかったこと, やりとりの討論が可能なように作った公聴会の運営方式を事業者も住民も忘れてしまったことなど, 折角の特色ある制度が風化して機能しなかった面が大きい。新しいアセス法が施行されても, その精神を生かさなければ運用の面で役に立たないことを示した貴重な体験である。そして, アセスは「事業の是非を判断するもの」との誤解が未だにあり, 住民の期待とのギャップが明らかになった点でも教訓になった。
この事業の目的が廃棄物処分場の建設であることを忘れてはなるまい。事業者は,現在の名古屋市の処分場が後3年しかもたないとの緊急性のみを押し出し,中期的なゴミ減量戦略についても,別の所を探す努力についても,何も述べていない。処分場については,現在全国各地で住民投票が行われ,ノ−の結論がでている。この点で,本事業が無風状態のままであることも,アセスとは別に問題を残した。
7月30日に,名古屋市環境審議会のアセス部会はアセス条例の考え方についての最終報告を公表した。これまでの名古屋市のアセス要綱は,アセス法で新たに導入された方法書に相当する現況調査計画書の手続きをはじめから持っていたこと,意見陳述と回答を2回繰り返す公聴会の運営方法など先進的なものであったが,これにもとづいて実施した藤前干潟に最終処分場を作る事業のアセスがもめている。そのことを教訓に特にアセスの透明性の向上にに配慮したとしている。大筋において国のアセス法や他の自治体のアセス条例案と同じであるが,神戸市と同じく市が事前配慮指針を策定しておき,現況調査計画書でそれに従った環境への配慮経過を示すことをうたっている他,準備書に対する住民意見がない場合を除き原則としてすべての場合に公聴会を実施すること,審査委員の公聴会出席や審査会の議事録の公表を明示していることは他にない特色である。なお,要綱では個人ごとに審査会委員を任命し,合議制をとらない審査会という特種な形をとっていたが,今回は合議制に改めている。審査には総合的な観点が必要だからというのが表向きの理由であるが,藤前干潟のアセスにおいて,一部の委員が主張を貫徹し,中々まとまらなかったのに懲りたからではないか。
藤前干潟については,3月に名古屋市の審査結果が出た後,愛知県の審査結果が前日の77月29日にでたばかりであるが,そこでは名古屋市と同じく「環境に影響がある」と結論し,さらに工事を2回にわけ,影響を見定めた上で後半分の実施を検討するとしている。名古屋市は,市のアセスの審査が終わった後,周辺の水深50cm以下の所を人工干潟とする代償措置を提示したが,具体性・実効性がないとして,県の審査では取り上げていない。なお,辞任直前の環境庁長官(参議院選挙で愛知県地方区から立候補し落選)は,国・県・市の協議会の設置によって事態の解決をはかると述べた。
名古屋港の藤前干潟を最終処分場にする計画は,日本有数の渡り鳥飛来地であることから,全国レベルの関心をよんでいる。去る3月には名古屋市のアセス審査結果が公表されたが,その第二段となる愛知県の審査結果が7月27日に公表された。「環境への影響が大きい」とする名古屋市の審査結果と余り変わらないが,計画を二つに分け,岸側の半分から着工し,その経過をみながら沖側の半分を埋め立てるかどうかを決めるべきだとしいる。名古屋市は,市の審査終了後周辺の水深50cm以下の部分を人工干潟にする代償措置を提案したが,県の審査会は,代償措置がうまく行ったかどうかを判断するには数年かかり,成果の期待も少ないとして,答申では触れていない。又,名古屋市の審査と同じく,アセスは環境への影響を判断するものであり,事業の可否を決めるものではないとしている。なお,名古屋市と愛知県で共通の審査委員も多い。
利根川河口堰の流域水環境に与えた環境影響調査報告書」1998年 6月 日本自然保護協会報告書 第83号 217 ペ−ジが出た。本報告書は,環境庁の特定流域水環境保全対策調査の一環として,日本自然保護協会が受託した調査の報告書で,建設省・水資源開発公団等のデ−タと現地調査とをもとにしたものである。河口から18.5kmの所にあるこの可動堰は1971年に完成して18年の運用経歴を持っており, 長良川や現在建設が問題になっている吉野川十番堰などの後発計画に大きな示唆を与える。他の可動堰にも共通な事実,利根川に固有な事実とをわけて示し,今後の環境アセスメント・モニタリングに対する提言を行っている点で重要な資料である。浮遊藻類の増殖は,流量の減少とこれによる堰の操作形式によに湛水日数の長期化に関係し,西南日本では冬の,東北日本では夏の渇水期に増殖が著しい。鳥類を含む生態系への影響は,建設から13年後に影響がでており,長期のモニタリングが必要である。なお, この報告書は, 西条八束・奥田節夫編「河川感潮域 - その自然と変貌」名古屋大学出版会 1996 年, 247 ベ−ジの内容を発展させたもので, 担当委員も重複している。
6月19日に公表されたこの制度では,環境影響評価法の対象となる実施計画の前に,基本計画の段階で,事業者が環境配慮書を公表して住民への説明会を開き,審査会が審査する。環境影響評価法の制定時に議論となった,いわゆる計画アセスメントの導入であり,神戸市条例の事前配慮指針を公表・審査の必要な手続きに格上げしたものである。環境配慮書は,都が定める自然環境などの評価項目についての環境配慮目標の設定を記載したもので,これをもとに複数の基本計画案を示す必要がある。そして,審査会はどれがベタ−かを検討するが,どの案も環境破壊が著しいと判断された場合もノ−ゴ−とする強制力はない。15人の審査委員のうち 3人は都民から公募するとしているのも画期的である。今年度から都の事業で試行し,2000年度からすべての対象事業に適用する予定である。
環境影響評価法を先取りして,6月10日から方法書の縦覧がはじまった。「空港島 」「前島」「土採り場(2ケ所,この2つは6月1日に縦覧開始)」「アクセス道路」 の計5冊からなっている。一番厚い「空港島方法所」は113ペ−ジもある。体裁とし ては,「神戸空港」「万博」とよく似ており,地域の概況が70%を占め,評価の項目 はは1ペ−ジにも満たない。
滋賀県蒲生町と日野町とにまたがる地区に予定している「びわこ空港」は候補地選定 から8年たったが,地元の反対でいまだにアセス手続きに入れず,この4月3日には, 地元住民が事前調査費の支出差し止め裁判をおこした。アセス手続きがはじまる前に, アセスが目的の事前調査が裁判の対象になった例は珍しい。
吉野川の川口から14kmの所にある第十堰を取り壊し,1km下流に可動堰(ゲ− トをつけた堰)を新設する計画は,公共事業見直しの対象として第十堰建設事業審議委 員会で議論されてきたが,それとは独立に建設省が設けた環境調査委員会から「自然環 境への環境はほとんどない」との結論が出て,5月8日に建設審議委員会は建設推進の 方向に動きだしている。一方,同じような見直しの対象となっいる愛知県矢作川河口の 可動堰計画では,5月13日の委員会で愛知県が利水権を返上したため,中止の方向に 動いている。第十堰は治水が主な目的であるため事情が異なるが,長良川の例を見ても 可動堰のアセスにはまだわからない所が多い。
環境影響評価法に対応する事業ごとの技術指針は,施行1年前までに公表されること になっていたが,予定通り6月12日の官報号外として発表された。これで,スクリ− ニング・スコ−ピングの手続きを開始することができるようになった。