環境技術学会 環境サロン 
講演のまとめ
2012年 環境サロン
                              環境技術学会環境サロン 2012年2月25日(土)
室崎益輝先生の講演・まとめ
東日本大震災からの復興について ―被災者と被災地に寄り添う視点から―

 復興とは何か?
復興を考えるときに重要なことは、21世紀の地球環境、つまり私たちの生活環境はどうあるべきかを問い直すことです。ですから、復興とは、21世紀に最も望ましい環境モデルを作ることである、と言えます。
それを東北の津波に呑まれた土地を例に考えるならば、海辺で、海の仕事の現場に近いところに住み、歩いて買い物に行け、学校に行け、病院に行ける暮らしでなければなりません。
東京まで出稼ぎに行かなくても、都会のハイテクと便利を必要としない、地域充足型のサスティナブルな循環型社会モデルを東北に作ることが、現実に我々に課せられた使命であるといえます。

■思考のためのキーワード
・リスク対リスク →減災という発想の必要性 →許容リスクを設定する
   「どうすれば、どの程度のリスクを引き受けられるか」
・開発復興:従来型の大規模公共投資で経済を動かして○○○を作る、という発想
・変革復興:災害で露わになる社会のひずみ(ここでは高齢化、過疎化、限界集落、山が脆弱になっていることなど)を克服する発想
・物語復興:思いを語ること、人の思いは総合的かつ具体的で、そこを目指してどう進めるかという発想
・段階復興:仕事を作る産業の再建、次にコミュニティ、最後に住宅再建という短期・中期・長期の発想
 直接的な復興の目的は、自立・安全だが、それは結果として付いてくる。前段階としてアメニティ・コミ ュニティとサスティナビリティを追求し防災はあくまで隠し味。

■何を目指すか
1.自治体の再建:地域を取り戻すには、役所が動き職員が働けるようにすることが第一。
2.減災のために許容リスクを決める:何のためにどんな対策を立てるか。そのために何をやめるか。
3.自立型持続型のエネルギーシステムを構築する。
4.文化を守る :どうしたら地域での暮らし方を維持できるか。
5.地域統治力の醸成:東北の自立力を創造する。→東北の人が作る新しい市民社会であること。

■科学技術の出遅れ
 ・津波の予測技術が役に立たなかったこと、原子力発電所の安全性が無能だったこと。
 ・大規模開発が地域の役に必ずしも立たないこと
 ・ローカルエネルギーの構築が遅れていること
 ・地域の資源を活かせていないこと(例:山林)
                                         
 (文責)環境技術学会事務局)