■特集にあたって
都市域での緑化プロジェクトとその理論的背景
福永 勲(大阪人間科学大学/本誌編集委員)
近年は都市域にあっても人々は緑と安らぎを望む時代となっています。とくに、最近自然再生と言われ
ることが多くなりましたが、都市にあっても釧路湿原のような人の手が入らない自然を再生できるしょうか。
経済成長と人口の増加に併せてがむしゃらに都市が発達し、振り返ってみれば、そこには緑と安らぎが
無くなってしまった、そこでそれを取り戻すための自然再生はどうすればよいか、と言うのが今日的課題です。
そのためには、人の手が入っていない地域の自然再生とはことなった考え方、手法に基づかなければ
ならないでしょう。それに応えようとしたのが「都市域環境問題研究会」(会長:村岡浩爾大阪産業大学教授)
でのイブニングセミナーの企画をいただいた本特集です。
はじめに、基調論文として都市域での自然再生に対する考え方、方法論、さらに新たな視点をその道の第一
人者である中瀬氏に述べていただきました。その次に、兵庫県と大阪府でそれぞれ進められている低未利用
地を利用した「森構想」の具体事例を紹介していただきました。
これらの官主導の計画には住民・市民参加をどう勝ち取っていくかが最も重要な課題であり、その立地が都
心部から遠距離である点など、克服すべき課題が山積しています。最後には、神戸市における都市と「農」の
交流を通じて文字通り住民参加・子供参加を実現して、ひとつ一つは小さくても多くの角度から都市域での自
然再生の具体化を図っている事例を紹介していただきました。
これらの事例や論文は実践的である点をお汲み取りいただき、読者の皆様が応用していただければ幸です。
■特集にあたって
大気拡散モデル、風洞模型実験の環境アセスメントへの利用
河野 仁(姫路工業大学/本誌編集委員)
大気拡散モデルや風洞模型実験は大気汚染予測の道具として有用であり、環境アセスメントや総量規制、
都市の環境管理計画の立案に広く使用されている。煙突からのSO2拡散予測のための標準的な手法として
「総量規制マニュアル」が環境庁によって作成されたのが1975年、煙突と自動車排ガスの拡散予測のため
に「窒素酸化物総量規制マニュアル」が作成されたのが1982年である。このマニュアルは、その後環境アセ
スメント等で広く使用されることなり、20年間あまり大きな変化はなく現在に至っている。一方、アメリカやヨー
ロッパでは拡散モデルが法規制のために広く使用されているが、この間に使用される拡散モデルに大きな変
化が起きている。
また、わが国でも山間部における焼却場や道路の建設、あるいは背後に山地がある場所に火力発電所を建
設するなど、複雑地形における拡散予測も必要になってきている。
1970年代から光化学スモッグが問題となり、緊急時の発生源対策が行われ、最近では光化学スモッグの発令
回数は1970年代と比べると減ってはいるが、オゾンの平均濃度の上昇、あるいは環境基準を超える時間数の
増加が問題となってきており、その対策のために、その原料である窒素酸化物と反応性炭化水素の削減量決
定のモデルが求められている。
また、建物の近傍における自動車排ガス拡散予測や、ヒートアイランド対策のため、都市の換気と建物の高さ、
密集度の関係を解析するための道具として風洞模型実験が使用されている。
本特集では「大気拡散モデル、風洞実験と環境アセスメント」というテーマで、「アメリカ、ヨーロッパでの大気拡
散モデルの行政への利用―技術指針等」について岡本眞一先生(東京情報大学)、「環境アセスメントにおける
大気拡散モデルの利用の問題」について予測実務の立場から鈴木秀男氏(環境解析研究所)、「数値シミュレー
ションモデル」ついて北林興二先生(工学院大学)、「光化学大気汚染対策へのモデルの利用について」山口克
人先生と近藤 明先生(大阪大学)、「風洞模型実験からみた自動車排ガス対策」について上原 清先生(国立
環境研究所)にご執筆頂いた。そして、「欧米の新しい拡散モデル」について河野 仁(姫路工業大学)が解説した。