| ディスポーザ導入に伴う利点と課題=特集のねらい 「環境技術」(2004年6月号) |
| ディスポーザとは、各家庭の台所の流し台の下に設置して、調理で出た生ごみや食べ残しをカッターで破砕し泥状にして下水管に排出する装置である。厨芥ごみが台所から無くなって腐臭が無くなる効果があり、アメリカなど欧米では義務づけをしているところや自由選択の所も含めて普及している国や州も少なくない。 ただし、分流式の下水道(家庭排水や工場排水のみを受け入れており、雨水は受け入れない、これに対して雨水も受け入れる下水道を合流式という)において、ディスポーザが採用されているところが多い。 ところで、減量化対策が叫ばれている廃棄物の面からは、我が国で年間5000万トンあまりにのぼる一般廃棄物の中で、各家庭から排出されるゴミの約1/3は生ごみであると言われ、ディスポーザによる処理は収集・運搬、分別の問題も含めてもその解決策の一つと考えられる。また、破砕物除去装置からの汚泥は、バイオガスなどの形でリサイクルされることも期待される。 しかし、下水道にとってディスポーザは、浮遊物質、BODなどの増大による下水処理場の負荷増大、堆積物の増加や閉塞、硫化水素の発生によるコンクリートの劣化などによる管渠の維持管理に支障をきたす恐れがあって、わが国では今日まで基本的には許可されてこなかった。とくに、わが国の下水道は都市部においては合流式が多く、雨水越流時に水域環境汚染を増大するなどの問題が多かった。あるいは、合併浄化槽(し尿だけでなく、台所排水・風呂排水などの家庭排水すべてを処理する家庭の下水処理場のようなもの、これに対してし尿処理だけをする浄化槽を単独浄化槽という)では、今日まで生ごみ処理まで想定していないので、ディスポーザは付けられなかった。 ところが近年集合住宅及び個人住宅に一定の基準に合格すればディスポーザの取り付けが許可されることになった。そして、最近のマンションなどではそれを「売り」にして販売し、結構好評を博していると言われている。その一定の基準に合格したディスポーザとは、従来の生ゴミ破砕のみのディスポーザでなく、一定の破砕物除去と水処理機能を併せ持ち、(社)下水道協会が決めた放流水質基準などの「性能基準案」を満たすと第三者評価機関が認定したものでなければならない。 ここで、近年までディスポーザの設置が許可されていなかったのに、なぜ許可されるようになったのか、そもそもディスポーザはわが国の水循環や廃棄物対策など環境問題で役割を果たせるのか、各家庭や共同住宅での正しい維持管理の保証はあるのか、その時代背景とともに技術的課題は解決されたのか、など、従来からの課題であった下水道や下水処理場での負荷影響あるいはごみ処理分野との棲み分けなどの疑問が残っている。あるいは、「性能基準案」に適合する認証には課題は無いのか、など問題点もある。 そこで、本特集では、これらの技術的課題の解決に苦労されてきた内容、性能評価実験についての現状と課題、下水道行政の設置される立場としての考え方や苦労話、ディスポーザを実際にマンションなどに設置し、管理している立場で快適性と課題に関連して、賛否両論あるわが国でのディスポーザについて、今後どのような課題を解決しながら普及を進めていくべきかを論じる立場で特集した。お忙しい中、快くご執筆いただいた諸氏にあらためて感謝申しあげる次第である。 (福永 勲(本誌編集委員/大阪人間科学大学)) |