特集 バイオマスの技術と活用、自治体と企業=特集のねらい

 近年、地球温暖化問題を契機にバイオマスエネルギーは再生可能エネルギーとして注目され、北欧を初めとする各国では広く取り組まれている。日本においては‘02年12月、「バイオマス・ニッポン総合戦略」が閣議決定されて、本格的にバイオマスエネルギーに取り組むことが宣言された。
バイオマスエネルギーは古くて新しい燃料といえる。50年ほど前までは家庭用燃料のほとんどはバイオマスエネルギーの薪炭でまかなわれていた。1970年代、2度のオイルショックを期に、木質燃料が見直されて、廃材を原料としたペレットの製造工場は当時30社を越えるに至ったが、その後の石油価格の低下で数年前には3社に激減していた。

 ’02年1月にはバイオマス発電・熱利用・燃料製造は雪氷冷熱利用と共に新エネルギーに格付けされ、従来の新エネルギーに追加された。また、‘03年4月には、電力会社はバイオマス等の新エネルギーからの発電電力を一定割合購入する「RPS制度」が全面施行された。さらに環境省は‘04年から自動車ガソリンに「バイオエタノール5%程度混合」を一部地域での供給を打ち出すことにし、2010年には10%とするスケジュール例を報告した。現在、バイオマスエネルギーを初めとする新エネルギー活用のための環境条件は整えられつつある。

 バイオマス・ニッポンを提案した農林水産省、経済産業省、環境省、国土交通省、文部科学省、および関連団体のNEDOなどは、毎年バイオマス関連技術や利活用システム等についての各種の提案公募制度を行っている。このような中、多くの先進的な自治体や企業はバイオマスエネルギーの取り組みを強め、バイオマスエネルギーのNPOや研究会が全国各地で生まれ、地域での活発な活動が行われている。

 我が国は国土の2/3を森林が占める世界有数の森林国である。木質バイオマスの潜在資源量は、温帯地域のバイオマス純生産量、ほぼ10dry-t/ha・年から試算すると、1次エネルギーの供給量の約19%に相当する。この有効利用がはかれればCO2削減に大きく寄与出来るだろう。また、バイオマスはCDM(クリーン開発メカニズム)制度や排出権取引などに関連して、国際的な取引を視野に入れたものになっていくであろう。

 新しいバイオマスは大きく分けて木質に代表されるドライバイオマスと家畜糞尿、汚泥等のウエットバイオマスがある。ドライバイオマスはペレット化、炭化、ガス化、液化などしてストーブやボイラー、発電の燃料になると共に、糖質のエタノール発酵、ガス化から燃料電池用の水素の製造、廃油からバイオディーゼルの合成など石油化学と同様に種々の合成化学への道がある。ウエットバイオマスは主にメタン発酵があり、最近は超臨界処理ガス化も試みられている。

 本特集ではバイオマスの技術と活用に活発に取り組んでいる自治体と企業の紹介をしたい。「京都市におけるバイオディーゼル燃料化事業の取り組み」を中村一夫氏(京都市)に、「大阪府の森林バイオマス利用推進の取り組み」を早川昌宏氏(大阪府)、「木質バイオマスエネルギーと地域の取り組み〜岩手の場合〜」を金沢滋氏(岩手・木質バイオマス研究会)、「山梨県における木質バイオマスエネルギーの普及に向けた取り組み」を小沢雅之氏(山梨木質バイオマス利用研究会)、「木質バイオマスのガス化発電」を笹内謙一氏(中外炉工業(株))、「乾式メタン発酵による有機廃棄物のバイオガス化」を藤田雅人氏((株)タクマ)から報告する。