| 「環境技術」2006年6月号:特集のねらい 底質汚泥の浚渫技術と浚渫汚泥の資源化 福永 勲 (大阪人間科学大学) 環境問題は、大気、水質を問わず、ひと頃の非常な汚染状態から質の変わった問題に移行して久しいが、依然として1960〜1970年代の公害と言われた時代の内容が続いている課題もある。大気にあっては、大気中の窒素酸化物などはその一つであろう。そして、水質分野にあっては、本題の底質汚泥問題もその一つである。 ただ、目的が浚渫、すなわち除去をして、環境を良くするというだけでなく、出来れば資源化して利用できないかという命題も重ねて要求されるようになったのが、1960年代とは異なると言えよう。この点が、本特集のねらいである。 前提条件として、浚渫汚泥と建設汚泥がよく似ていて、廃棄物処理法の対象になりそうであるが、とくに廃棄物として排出した結果堆積した場合を除き、通常の河川流下、あるいは滞留によって堆積した汚泥は、その対象にはならないことを明記したい。 まず、浚渫技術については、土木技術の進歩と相まって、ずいぶんと進歩している。浚渫方法は、強力な水中ポンプで水・汚泥をあわせて吸引するポンプ系とバケツですくうようなグラブ式に分けられる。大阪北港処分場造成にあたって、河川ではグラブ式で浚渫し、○○船に乗せてタグボートで引かれて処分場に横付けされて投入されている。処分場近くの港湾区域では、大きな電気掃除機のような原理で汚泥を海水とともに吸引し、そのまま太いパイプで(直径45cmであったか?)、土砂処分場に投入されている。 浚渫方法は、このようなケースだけでないと思うが、詳しく「底泥浚渫技術の進歩と今後の課題」と題して、東洋建設竃ヰシ幸二氏にお願いした。 浚渫汚泥の資源化についても、昔は汚濁物質処理の面からのみ考えられてきたが、近年は土木材料として利用することも考えられている。本来、環境的には、底質汚泥は再溶解による水質への影響が心配されるほど、窒素・燐等の栄養分に富んでいる。従って、その点を利用した資源化もある。 一方、コーン指数(三角帽子=コーンで土を突いたときの圧力で、土の硬さを示す)で表現されるような土質工学的な改良も必要である。あるいは、漁港などで異臭魚の悪臭をともなう場合などは資源化と言うよりも公害対策が先行する場合もある。 これらを解決して、今日まで資源化されている有名な事例としては、英虞湾人工干潟の造成、手賀沼の浚渫と緑道整備、広島県林田川の浄化工事、東電の焼却をしてコンクリート混和材料、あるいはセラミック材料、などが知られている。これらについて、詳しく東亜建設竃{多将人氏に「浚渫汚泥の資源化技術の動向と今後の展開」と題して、お願いした。 海域について、港湾域も含めれば浚渫土のかなりの部分は海域で、詳しくは、五洋建設萱w山博昭氏に「海域の底質汚泥の浚渫・処理と資源化の多様な実施事例」と題して、ご執筆頂いた。 さらに、湖沼でも人々の憩う場所として、整備が要求されている。その浚渫工事の代表が、兵庫県伊丹市の昆陽池の再生工事である。著者も見学したが、日本でも有数の渡り鳥越冬地として知られており、市民の憩いの場としてすばらしいものである。しかし、鳥が集まるということはそれだけ、えさと糞とが水質を汚濁させ、底質汚泥が堆積する可能性が高いということになる。 この湖沼事例については、昆陽池も含めて詳しく、轄ヲr組 吉田幸司氏らに「湖沼浚渫底泥の脱水処理による減容化と処理土の有効利用事例」と題して、ご執筆頂いた。 また、河川底質汚泥も河川汚濁物質が徐々に堆積するとともに、またこの汚泥が再溶解して河川汚濁の一因になるという関係にある。従って、河口部では船舶航行を妨げないように行う維持浚渫だけでなく、公害浚渫も必要となる。さらに、最近はダイオキシン問題に関連して底質汚泥の環境基準も定められて、ひところ水銀やPCBの除去基準と同様の扱いで河川底質汚泥を除去し、水質へのダイオキシンの再溶解を防ぎ、ひいては魚類等を通じての人間への曝露リスクを減らすという目的も加わった。 このため、ふたたび河川底質の浚渫工事も少なくなく、その事例を渇恆コ組 寺川隆彦氏に「河川底質汚染対策の各地における実施事例とその課題・展望」と題して、お願いした。 以上、本特集がわが国での浚渫技術とその汚泥の資源化技術の最新の到達点を、すべて著していると確信する。最後になりましたが、本特集を快くご執筆頂いた皆様方に感謝申し上げます。 →TOP |