「環境技術」2007年5月号:<汚泥の減量化とコストダウン>
特集のねらい

          
                            村上定瞭 (宇部工業高等専門学校) 
     
 有機性汚水の浄化には維持管理費の安い生物学的手法が用いられているが、この浄化法の欠点として、栄養源である汚濁物質を摂取して増殖する微生物が余剰汚泥として排出されることである。特に、好気性微生物を用いた浄化法は処理水質が良好であるので広く普及しているが、その増殖率が高く大量の余剰汚泥を発生する。今日、廃棄物の排出量削減や再利用が進む中で、汚水浄化施設から排出される汚泥は、未だに増加の傾向にある。
  汚泥は、含水率が高くまた腐敗しやすく、取り扱いが厄介なものである。加えて、個々の汚水処理施設からの汚泥排出量は異なり、その処理処分については状況に応じた対応が必要である。汚泥は、まず重力沈降により濃縮された後、様々な処理工程を経て有効利用や最終処分が行われている。この汚泥処理の過程で、収集・運搬を含め、多くの経費とエネルギーが費やされている。
   一方で、汚泥そのものの発生量を削減する取組も、古くから行われている(図-1)。この中で、栗田工業(株)は、1992年、オゾンを用いた余剰汚泥を排出しない活性汚泥法を提案し、1995年、世界で初めてこれを実用化した。その後、様々な方式を用いた汚泥減量化法が開発され、多数の技術が実用化されている。現在までに、日本下水道事情団(JS)または(社)地域資源循環技術センター(JARUS)から8つの技術が認定され、農業集落排水処理施設等をはじめ小規模汚水処理施設を中心に、これらの減量化技術が普及しつつある。
  上記汚泥減量化法の原理は、増殖微生物を基質化(生分解性物質へ改質)し再び微生物により消化することで、最終的に、汚濁物質のほとんどを二酸化炭素等の無機物に変換するとともに余剰汚泥の発生しない系を構築することである(図-2)。具体的には、活性汚泥法を例に挙げると、生物学的、化学的または物理学的な手法を用いて返送汚泥の一部を基質化処理し、処理された汚泥を曝気槽へ移送して消化する方法である。ところが、最近、汚泥減量化技術について「@どのような基準でどの技術を選定したらよいか、Aこの技術の導入にあたっての留意事項は何か、Bこの技術によるコストダウンはどのくらいか。」等々の照会が多く、本特集号を刊行することとなった。
  本特集の内容は、(1)汚泥減量化技術の解説および(2)その具体的な技術の紹介から構成されている。(1)については、本技術の設計・操作条件とその技術の導入にあたっての留意事項について解説した。(2)については、紙面の制約もあり、JARUSで認定された技術に限定した。また、汚泥基質化法の他に食物連鎖法による汚泥減量化技術の1事例も加えた。最後に、本特集号の刊行にあたり、ご協力を頂いた各社および執筆者の方々に厚く御礼を申し上げます。
                                      (図1,2は機関誌に掲載)
      
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