| 「環境技術」2007年10月号:特集2 <道路交通騒音に関する最近の話題> 特集のねらい アクト音響振動調査事務所 厚井弘志 騒音問題は、近時、有害化学物質や、温暖化等地球環境レベルの環境問題の陰に隠れ社会問題として取り上げられる事が少なくなった様に見受けられる。しかし、平成17年度に環境省が取りまとめた結果によると、騒音に関する苦情件数は全国で1万6,470件にのぼる。自動車交通騒音に関しては、苦情件数は少ないものの、環境基準による評価対象住居291万4,000戸の内、43万3,900戸が基準を上回っている。 道路交通騒音については、騒音規制法第16条で、環境大臣は、一定の条件で運行する場合に発生する自動車騒音の大きさの許容限度を定めなければならないこと、国土交通大臣は、道路運送車両法に基づく命令で、自動車騒音に係る規制に関し必要な事項を定める場合には、前項の許容限度確保されるように考慮しなければならない、と定められている。 また、市町村長は、道路交通騒音について、指定地域内での騒音が環境省令で定める限度を超えることによって、道路の周辺の生活環境が著しく損なわれると認める時は都道府県公安委員会に対し、道路交通法の規定による措置を執るべきことを要請すること、当該道路の部分の構造の改善その他自動車騒音の大きさの減少に資する事項に関し、道路管理者または関係行政機関の長に意見を述べることができる、とされている。 また、幹線道路の沿道の整備に関する法律では、道路交通騒音の著しい幹線道路の沿道における良好な市街地の形成についての措置について規定している。 この様な中で、1972年、国道43号線の周辺住民から、43号線上に建設される阪神高速神戸線の建設差し止めを求めた仮処分申請がなされ、1976年提訴。抜本的対策改善措置が取られず1996年に再提訴、1998年3月に和解が成立した。この間、防音壁の設置、緩衝緑地帯の整備、車線制限、バファビルの建設、高架下の吸音材の設置など、道路交通騒音の防止に関して全国に先駆けての種々の対策が取られてきた。住友氏には、主として国道43号線の騒音対策について記述して頂く。 43号線のみならず、騒音や大気汚染が懸念される道路建設についての環境影響評価制度を設ける自治体が増え、また、平成9年には環境影響評価法が定められた。 道路交通騒音の予測には、1975年に音響学会が推奨する、騒音レベルの中央値を予測量としていた計算方法(ASJ Model 1975)が用いられていたが、1998年の騒音に係る環境基準の改正に伴い、Leqを予測量としたASJ Model 1998が採用されるようになった。 このモデルは、車線別、車種別に自動車騒音の変動パターンを作成し、走行速度や道路構造等の諸条件を入力し、騒音レベルを求めるものであり、汎用性が大きい利点はあるが、計算が複雑であり計算の過程が一般には分かりにくい。 また、現在はより汎用性の高いASJ RTN-Model 2003が日本音響学会から頒布されている。三宅氏にはこれらを含めた道路交通騒音の予測手法について記述して頂く。 道路交通騒音対策としては、音源対策、交通流対策等種々の物があるが、最も一般的なものは、防音壁の設置である。ただ、防音壁は景観を損ね、また構造上あまり高い壁は設置できない場合が多い。近年、防音壁頂に吸音処理を施こしたり、形状に工夫を加える等の技術開発が進んでおり、これらの技術について大久保氏にご紹介して頂く。 |