| 「環境技術」2007年10月号:<気泡技術の魅力と将来展望 > 特集のねらい 千葉工業大学 瀧 和夫 「泡」は人々にとって身近な存在である。この気泡を細かくして行くと普段目にするものとは異なる気泡の特徴が現れてくる。マイクロバブルやナノバブルと呼ばれるこれらの微細な気泡は、科学的あるいは工学的にも大いに興味深い存在である。
→TOP微細気泡の生成技術は1980年代に誕生したもので、様々な試行錯誤の未にたどり着いた技術である。しかし、当時は単なる“微細な気泡”としての評価に過ぎず、昨今の学問的・技術的体系化に向けた出発点には至らなかった。 いまでは、気泡の中の気体も空気から特定の気体にまで、目的に合った選択がなされるようになって来ており、実用的な目的からも非常に有用な技術分野であると考えられる。さらに、この微細気泡の特徴を余すことなく引き出すには、その特性を踏まえたうえで目的に合致した活用が重要である。 マイクロバブルの本質は“水中で縮小し、ついには消滅する”という、そのダイナミックな作用の中にある。そして、気泡の内部圧が上昇すると同時に、表面電荷がその振舞に大きく関わるようになると、気泡内部の気体の周囲の液体への溶解やフリーラジカルの発生、さらには、より微小な安定した気泡の生成が見られるようになる。 その収縮や電気的特性、光熱現象など、固有の物理化学的特性を示すことが注目されている。 ここで、マイクロバブルの生成には、せん断による方法、加圧溶解法、衝撃波法、超音波法などの発生方法の何れかを用いるのが一般的であり、このようにして作り出された微細気泡は環境・省エネルギー分野、食糧・バイオロギー分野、そして、健康・医療分野において広く活用されている。 例えば、水産養殖、農作物の活性化・増収や水質の浄化の事例に見る「環境蘇生力」に、マイクロバブルの洗浄効果、特に、マイクロバブルの水中での収縮・消滅時の衝撃波の発生や洗浄のための活性化に、流れ場における摩擦抵抗の減少効果のメカニズムやプロペラキヤビテーションノイズの問題に、また、医学への応用としての超音波造影剤の開発・利用に見ることができる。 現在診断、治療支援にマイクロバブルやナノバブルが広く利用されている。ここで、難溶性の気体による微小気泡(2μm以下の微小気泡)に取り込んだ超音波造影剤は、肝臓のmacrophageにトラップされる性質を巧みに利用したものである。 このように、微細気泡への関心の高まりはごく最近のものではあるが、実用面での技術発展及び気泡の性質に対する科学的興味は「環境技術」としても大いなる関心事である。今後、さらに環境技術を含めた産業分野へ確実に貢献してゆくためには、微細気泡の発生技術の向上だけではなく、その気泡が創り出す特殊な機構を解明して有効利用していくことが重要である。 特集では、微細気泡の魅力について概観し、生成法そして多種多様な活用例について、さらに、気泡技術の将来展望について、それらの最新の情報とともに述べてみたい。 |