| [環境技術]2007年12月号特集1 液体バイオ燃料と資源作物 土 井 和 之 今,バイオエタノールが騒がしい。地球温暖化防止や化石燃料消費削減のプラス面と輸入穀物価格の上昇というマイナス面でマスコミを賑わせている。 バイオ燃料には液体燃料と固形燃料があり,ここで話題にするのは液体燃料である。バイオ液体燃料にはバイオエタノールのほかバイオディーゼル燃料,バイオメタノールを含むバイオマス由来のガス合成液体燃料(GTL)などがあり,自動車用燃料として多くの種類が開発中である。 2002年閣議決定のバイオマス・ニッポン総合戦略ではバイオ液体燃料は目立つ扱いではなかった。その後,2004年京都議定書のロシアによる批准と2005年の発効,2006年のアメリカ大統領の一般教書演説など国際的な動きがあり,国内では2005年京都議定書目標達成計画,2006年に新たなバイオマス・ニッポン総合戦略に続き環境省エコ燃料利用推進会議報告,2007年国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けた工程の総理への報告というように矢継ぎ早に政策目標が打ち出されている。 バイオエタノールは,ブラジル,アメリカで大量に生産されてきた。それは,おもに余剰農産物対策であった。ブラジルでは砂糖をつくるサトウキビ,アメリカではトウモロコシの余剰である。欧州各国でも農産物や農地の余剰対策として,小麦などデンプン作物からエタノールが生産され,ナタネ,ヒマワリなど油糧作物からバイオディーゼル燃料が生産されている。 国内のこれまでのバイオマス利活用は,主に廃棄物対策の一環として取り組まれてきた。家畜排せつ物は,低級な処理・利用があるものの適正処理法の施行により一応落ち着いた状況といえる。また,食品リサイクル法関連では,生ごみのたい肥利用が進められてきているが,家畜排せつ物たい肥とともに製品たい肥の余剰懸念がある。また,木質のエネルギー利用についても木質バイオマスの収集運搬の費用に比べて競合する化石燃料の価格は低く,特に電力は買い取り価格が安いという問題から停滞しはじめていた。 こうしたなか,ガソリンをはじめ石油製品の高値安定,中国やインドのエネルギー需要の増大傾向,目前にせまる京都議定書約束期間,そして先に述べたような国際動向を受けて,カーボンニュートラルであり,エネルギー安全保障に寄与するバイオ液体燃料ブームに火がついたといえる。 バイオエタノールは,そのほとんどが糖質およびデンプン質から生産されている。植物の繊維質であるセルロースからエタノールを生産する技術も急ピッチで開発が進められている。 日本では,食料自給率が低いことから食料や家畜の飼料をエタノールの原料とするには問題があり,また,木質系バイオマスも安価で大量の安定的確保は難しい状況にある。一方,耕作放棄地が年々増加し,限界集落も全国に2,600もあることから農業や農村の活性化が喫緊とされている。その活性化策のひとつとしてバイオ燃料の原料となる資源作物(エネルギー作物)を耕作放棄地など不作付け農地で栽培することが話題になり始めている。 しかし,バイオ液体燃料は資源の収集から変換,利用の各段階で,経済性など多くの難問を抱えている。 本特集では,「バイオ燃料の製造・利用に関する技術的動向と課題」,「アジアにおけるバイオ燃料生産・利用の展望と産総研における製造技術開発」,「ガス化・メタノール合成のための資源作物の課題」,「資源作物生産とそのバイオ燃料利用についての評価の視点」と題して研究者に投稿いただいた。今後の議論を期待する。 (本誌編集員/内外エンジニアリング(株)) |