2002年10月号特集にあたって (1)地下水・土壌汚染対策

近年、土地取引やISO14000sの認証取得に関連して工場敷地内の土壌汚染調査が多く行われるようになり、それにともなって有害物質による土壌汚染事例の判明件数が著しく増加している。このため、土壌汚染による健康影響への懸念や対策確立への社会的要請が強まっているという状況の中、土壌汚染状況の把握、土壌汚染による人の健康被害の防止に関する措置等の土壌汚染対策を実施することを内容とする「土壌汚染対策法」が、平成14年5月22日に成立し、29日公布された。この法律の施行は今後さらなる土壌汚染確認事例の増加をもたらすと考えられている。現在、環境省などによって汚染土壌の直接摂取による健康リスク評価法の検討なども進められるなど、この数年で土壌汚染問題は一気に社会の表舞台に出てくるとともに、地下水・土壌汚染対策技術をとりまく状況も急激な展開を見せ、わが国独自の技術の進歩も著しい。
このような状況の中、さる6月26日から28日、日本地下水学会、日本水環境学会および土壌環境センターの主催により、京都市において第8回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会が開かれた。その内容は一般発表132件、しかもその半数以上が企業による地下水・土壌汚染対策技術の発表であり、現在の地下水・土壌汚染対策技術研究の活発さを物語っている。この研究集会の初日には地下水・土壌環境管理の全体像をまとめて把握することを目的とする特別シンポジウムが開催された。今回の特集「地下水・土壌汚染対策」はこの特別シンポジウムで講師を務められた先生方の内、何名かの先生に御協力いただいて執筆していただいたものである。本特集が地下水・土壌汚染対策技術に関する最新の状況を把握するための一助となることを願っている。
(米田稔)

2002年10月号特集にあたって (2) 有機汚泥の乾燥/炭化技術とその有効利用

  一般に汚泥の有効利用・資源化を図るうえで検討を要する主要項目としては、汚泥の性状、製品の質・安全性、環境への影響、供給の安定性、需要先の発掘・確保、経済性が挙げられる。本特集では下水汚泥に代表される有機質汚泥の乾燥/炭化とその有効利用の方法についてとりあげたが、排水の生物処理系統から排出される汚泥は濃縮あるいは濃縮脱水という工程を経て濃縮汚泥または脱水汚泥となり、つまりいったん含水率がかなり低減された後さらに一定の工程を経て製品化され、肥料、土壌改良材、燃料、建設資材等へと有効利用されることが多い。
 これまでもいろいろな資源化方法が提案、開発されてきたが、昨今の傾向として堆肥やスラッグにして有効利用を図るという単一製品化という考えが大勢を占めている。それも置かれている状況に適っていれば問題ないが、そうした方法が採用できる条件が備わっていない場合も多い。こうした認識を踏まえて、濃縮/脱水汚泥を乾燥し、造粒化させて保存性や使い易さを高めることは、有機質汚泥の資源としての利用範囲を拡大させるうえできわめて有効であると考える。つまり、取り扱いが容易で、保存性に優れ、しかも品質に応じて利用先も複数の分野が対象となる乾燥造粒汚泥は今後もっと注目されてしかるべき資源化製品といえる。なお、炭化汚泥はこの延長線上にあるものであり、少し用途は狭まるが、同様のことがあてはまる。
  冒頭の検討事項との関連でもって具体的にその特色を2,3挙げると、ひとつは品質に応じて、肥料、土壌改良材、補助燃料、資材など多岐にわたる利用方法のなかから最適なものを選択することができるという点である。さらに、含水率を10%以下にすることもできるので長期保存が可能であり、需給バランスを保持して、安定した需給関係を構築することができる。また、数ミリのペレット状にできるので輸送や使用における取り扱いに優れている。他にはないこうした特色を有する乾燥汚泥の活用が図られることを期待する。(菅原正孝)