「環境技術」2017年6月号 記事情報

掲載年 2017
巻(Vol.) 46
号(No.) 6
287 - 287
記事種類 特集
記事タイトル 海外の廃棄物処理の動向
特集のねらい
著 者 守岡修一
第1著者ヨミ MORIOKA
第1著者所属 元 川重環境エンジニアリング
要 旨
特集タイトル 海外の廃棄物処理の動向
特集のねらい わが国は1960〜70年高度成長期を迎え,廃棄物量の増大に伴い東京都ごみ戦争などがあり,1970年廃棄物処理法で一般廃棄物と産業廃棄物を区別し,一般廃棄物は市町村が処理計画とその処理をすべきことが定められた.そして減量化と衛生的な中間処理として,また最終処分場での減容化を目指して焼却処理に重点がおかれ,そのインフラ設備に国の補助金を充てる政策が進められてきた.その結果,廃棄物処理は確実に進められてきたといってもよい.その間,廃棄物処理は様々な施策により改善され,現在では官から民への委託が目立つようになってきた.また,廃棄物処理は3R 循環型社会形成を目指している.そこで,海外の廃棄物処理がどのように進められているか,そしてどのような方向に向かっているかを見てみたい.
まず世界的な流れを鳥瞰し,先進国であるイギリス,ドイツを,発展途上国としての中国,東南アジアを取り上げてみる.国土の状況と法制度と国の施策,経済性からの考え方,再利用,再使用の進捗度合いなど各地域の考え方が見えてくれば,わが国としての今後の在り方も分かってくると思われる.
株p棄物工学研究所田中勝先生は「世界の廃棄物処理が目指す方向」として,経済発展とこれからの世界の廃棄物量を示し,今までの修復処理対策では対応できなくなり,ライフサイクルアプローチの必要性と循環型社会の構築に向けた廃棄物マネジメントの必要性を述べ,地球温暖化対策のために埋立を抑制し,廃棄物からエネルギーを回収し低炭素社会の実現を目指すことであるとしている.
ジェトロ・アジア経済研究所吉田暢氏「英国の廃棄物処理」では,英国政府が推し進めてきた公共部門の民営化政策は,EU が主導する二つの指令,廃棄物処理優先順位と生分解性都市廃棄物の埋立削減に対応するため,その構造に変化が生じてきたが,埋立量減少,リサイクル率向上には成果が見られるものの,廃棄物量の抑制には課題があるとしている.
(公財)日本生産性本部喜多川和典氏「ドイツの廃棄物処理の動向」では,ドイツは包装政令で拡大生産者責任により容器包装の削減とリサイクル率は向上し,循環経済法で廃棄物管理の優先順位を定めたが,廃棄物管理を処分からリサイクルへと進める中で脱公営・民営化が生じており,容器包装令改正でその溝が深まりつつある.インフラは官民の垣根を超えた構築が必要であるとしている.
城西国際大学張紀南先生は「中国における廃棄物処理の動向分析」で経済の急成長により生活の向上とともに都市化が進み,急増している都市生活ごみについて,中国国家統計局の統計データの解析と政策行政管理問題の現状を解説し,今後の中国の進むべき方向を示している.岡山大学大学院藤原健史先生の「東南アジアにおける廃棄物マネジメントの最近の動向」では,ベトナム,カンボジア,マレーシア,タイ,インドネシアの動向を紹介する.各国共通のこととして収集サービスのカバー率が低く,インフォーマルセクターによるごみ収集・資源化が一般的であり,公共の関与は低い.都市化・工業化が進み処理施設導入を図る機運もあるが,資金問題がネックとなっているとしている.
わが国の廃棄物処理対策はドイツ等先進国から学び法制面でもインフラ面でも堅実なものにしてきたが,これからも学ぶべき点は学び,教示すべき点は教示することが必要であろう.特に後進国に対しては資金調達の枠組みやその方法の手助けも必要となろう.
今回の特集にあたり,執筆して頂いた先生方に心よりお礼申し上げます.