「環境技術」2017年9月号 記事情報

掲載年 2017
巻(Vol.) 46
号(No.) 9
478 - 483
記事種類 解説
記事タイトル ISO 14001:2015の改正点への対応指針
著 者 大串徹太郎
第1著者ヨミ OGUSHI
第1著者所属 環境カウンセラー
要 旨 1.はじめに
環境マネジメントシステム(EMS)規格ISO14001が改正され,2015年9月15日に2015年度版が発行された.2012年2月から2015年4月にかけて世界中から寄せられた約4,300件のコメントについて審議し発行されたISO 14001:2015が持続的に発展するために重視した理念は環境,社会,経済(トリプルボトムライン:TBL)のバランスをとることであり,我国ではJIS Q 14001:2015(ISO 14001:2015)1)(以下「新ISO14001」と略記)が2015年11月20日に公示された.
ISO 14001:2004(以下「2004年度版」と略記)に基づく認証を登録している組織(以下「企業」と記載)は,2018年9月14日までに移行審査を受けて新ISO14001に基づく認証を登録しなければならない.移行審査の判定に約1ヵ月を要するため,実質的な移行期限は2018年8月14日ごろとなる.価値(富)を生む多様なプロセスを産業とすれば,文明は産業を土台として,狩猟文明,農耕文明,そして産業革命による大量生産・大量消費・大量廃棄文明へと進み,人口は急増した.
今日,価値(富)を生むプロセスを担っている主体は企業であり,限りある天然資源を集中的に利用し,多くの人々を雇用する権利を社会から負託されている2).しかし,近年,大量生産・大量消費・大量廃棄に伴って発生する化学物質による環境汚染及び温暖化,その結果生じた生物多様性の減少,さらに天然資源の枯渇,価値(富)の偏在に起因した社会の不安定化が危惧されるに至った.したがって企業には経済に加えて社会,環境を調和させた経営を推進することが期待されており,社会からの負託に応え文明を持続的に発展させる責任を負っていると考える.
2004年度版はEMS を「著しい環境側面や法的及びその他の要求事項へ対応するためのマネジメントシステム」としていたが,新ISO14001はEMSを「TBL のバランスを重視して持続的に発展するための環境柱の確立に寄与し,環境,組織及び利害関係者に価値をもたらすためのシステム」へとグレードアップした3).
本稿では,新ISO14001に基づくEMS の主要な改正点への対応指針を提案するとともに,環境にフォーカスしつつ社会からの負託に幅広く応えることのできるシステムとして運用するための指針を提案した.
:ISO 14001:2015,改正点への対応指針,トリプルボトムライン,社会からの負託
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特集のねらい