「環境技術」2017年9月号 記事情報

掲載年 2017
巻(Vol.) 46
号(No.) 9
484 - 487
記事種類 解説
記事タイトル 日本の外来種対策とヒアリの襲来
著 者 乾陽子、上田昇平
第1著者ヨミ INUI
第1著者所属 大阪教育大学
要 旨 1.はじめに
 ヒアリSolenopsis invicta は南米原産の強毒性のアリで,世界の侵略的外来種ワースト100にその名を連ね1),日本でも特定外来生物に指定されている2).すでに周知の通り,2017年5月に神戸港に陸揚げされたコンテナの内部から数百匹のヒアリが国内で初めて発見され,これを皮切りに大阪港や名古屋港や横浜港といった港湾地区でヒアリ集団の発見報告が相次いでなされた.2017年7月には内陸部でも発見されるに至り,ヒアリがすでに複数の経路で日本への侵入を果たしていることが確実となった.ただし,執筆時の7月下旬現在までに発見されたヒアリはすべてコンテナの中もしくはコンテナの置き場や輸送経路上といった周辺部のみでしか確認されておらず,またヒアリ特有の塚状の巣は国内でまだ発見されていないため,本種が日本にすでに定着しているという可能性は依然として低く,現状は侵入の初期段階であると考えられる.しかし,一連の発見報告から浮かび上がるのは,コンテナが図らずもヒアリの格好の運搬体となっていることや,物流の規模とスピードの甚大さがヒアリの侵入を容易にしているということであり,このことは初期侵入の段階でヒアリが急速に全国に広まる恐れがあることを示している.そのため,関係自治体や研究者の間でヒアリの分布拡大の懸念が深刻化しており,早急なヒアリ対策を実施するべく神戸市や(一社)日本生態学会は国に緊急の要望書を提出した3,4).
本稿では,まず日本における外来種の問題について概括し,ヒアリの特徴ならびに分布状況と,予測される危機および可能な対策について速報的に紹介する.
キーワード:ヒアリ,侵略的外来種,外来生物法,有毒生物
特集タイトル
特集のねらい