「環境技術」2017年10月号 記事情報

掲載年 2017
巻(Vol.) 46
号(No.) 10
511 - 511
記事種類 特集
記事タイトル 浅場機能の復元・再生・創出を目指した環境配慮型構造物
著 者 駒井幸雄
第1著者ヨミ KAMAI
第1著者所属 大阪工業大学
要 旨
特集タイトル 浅場機能の復元・再生・創出を目指した環境配慮型構造物
特集のねらい 高度成長期を通じて日本の沿岸海域の水質汚濁は進行し,大きな社会問題となった.水環境の回復と保全に向けた様々の施策が講じられ,すでに半世紀近くが経とうとしている.瀬戸内海の場合でいえば,水質は全体として改善されたが,生物の回復には至っておらず,今,日本の沿岸海域に豊かな海を取り戻すことは重要な課題となっている.
 望ましい沿岸海域の環境を展望したとき,人手が加わることにより生物生産性と生物多様性が高くなった沿岸海域という里海の概念の実現はあるべき姿の一つである.一方,沿岸域には,津波や高潮から人々とその生活を守るために建造された堤防や,産業活動の必要性から造成される埋立地は,自然海岸や藻場,干潟という海洋生物の生息場所を根本から奪う人工構造物があふれている.
 しかし,求められているのはあれかこれかの二者択一ではない.社会的な必要性から造られた人工構造物に生物生息環境という新たな機能を付与し,豊かな海を取り戻すことに少しでも貢献できる環境を作ることが必要である.
 例えば,2015年に改正された瀬戸内海環境保全特別措置法や,それに先立って改定された瀬戸内海環境保全基本計画の中では,「生物の生息・生育空間の再生・創出のため,新たな護岸等の整備や既存の護岸等の補修・更新時には,環境への配慮についても検討」することや,「防災・減災対策の推進に当たっては,自然との共生及び環境との調和に配慮」することとし,「環境配慮型構造物」を採用していくことが明記された.
 こうした環境配慮型構造物については,各地で様々な試みがされつつある.しかし,環境配慮型構造物には様々なタイプがあり,その生物の生息・生育空間の再生・創出に対する効果の実証を含め,実施に当たっては解決すべき多くの課題がある.本特集では、…(後略)