「環境技術」2017年10月号 記事情報

掲載年 2017
巻(Vol.) 46
号(No.) 10
527 - 532
記事種類 特集
記事タイトル 浅場機能を有する環境配慮型構造物の設計思想と実例
著 者 山口奈津美、山本秀一
第1著者ヨミ YAMAGUCHI
第1著者所属 (株)エコー
要 旨 1.はじめに
 高度経済成長期以降,藻場や干潟などの浅場が大規模に消失し,海岸線の多くが直立型構造物となり浅場機能が低下している.これらの藻場や干潟の浅場再生も進められているが,面的に浅場を復元・再生できる場所は限られている.
 一方,我が国では高度経済成長期以降に建設された港湾・海岸・漁港施設の多くが老朽化してきている.また,グローバルな気候変動や大規模災害の発生に伴い,設計基準の見直しが進められている.このため,全国的にこれらの改修・再整備が進められているなか,このような直立型構造物に効果的な環境配慮機能を付与することは閉鎖性海域の環境の保全・修復を図るうえで重要な課題である.
 直立型構造物への環境配慮技術としては,浅場の有する生物生息機能,水質浄化機能,生物生産機能,親水機能に着目した多くの取り組みがなされている.
 以下においては,浅場機能を有する環境配慮型構造物として,直立型構造物に人工浅場を導入した「エコシステム式海域環境保全工法」1)について関連文献をもとに紹介する.本工法は,2000年から2004年まで徳島県の徳島小松島港において実施された小規模な実験構造物を用いた仮説・検証・改良の研究開発過程を経て,貧酸素化が生じる愛媛県の三島川之江港の防波堤で事業化されたものである2).本事業については「エコシステム式海域環境保全工法適用マニュアル」1)としてとりまとめられている.本マニュアル等をもとに計画・設計・施工と5年間にわたるモニタリングの成果を示すとともに,施工後10年経過した2016年のモニタリング調査結果3)を紹介する.
キーワード:浅場,環境配慮,海岸構造物,生物的要求性能
特集タイトル 浅場機能の復元・再生・創出を目指した環境配慮型構造物
特集のねらい