「環境技術」2017年10月号 記事情報

掲載年 2017
巻(Vol.) 46
号(No.) 10
542 - 545
記事種類 特集
記事タイトル 沿岸防災と環境保全を両立させるコンクリート構造物の開発
著 者 西村博一、・松下紘資
第1著者ヨミ NISHIMURA
第1著者所属 日建工学(株)
要 旨 1.はじめに
 高度成長期,わが国の社会基盤整備は利便性や生産性向上,国土保全等を主眼に進められ,コンクリート構造物は必要不可欠のものであったが,その画一的な構造は,ときに環境破壊の象徴とも指摘された.そのような中,1990年代には環境基本法や改正河川法,改正海岸法等において環境配慮の考えが組み込まれ,構造や形状の面でさまざまな工夫が施されてきた.
 港湾等の沿岸域においては,これまで人工干潟や藻場の造成等の事業が実施されてきたが,その多くは環境の再生・創出を目的としたものではなく,航路浚渫土砂の有効利用や埋立て等による環境影響のミティゲーションであった.その背景には,港湾法が「交通の発達及び国土の適正な利用と均衡ある発展に資するため,環境の保全に配慮しつつ,港湾の秩序ある整備と適正な運営を図るとともに,航路を開発し,及び保全すること」1() 下線は著者)を目的としており,環境保全を主たる目的として実施することが難しいという側面がある.
 一方,2015年に改正された瀬戸内海環境保全基本計画では,目標達成のための基本的な施策の一つとして「環境配慮型構造物の採用」が掲げられ,「海岸保全施設の整備・更新など,防災・減災対策の推進に当たっては,自然との共生及び環境との調和に配慮するよう努めるものとする.」2)と記された.
 これは,港湾等の沿岸域における環境配慮が従前の「開発」対「環境」の対立関係から生まれる配慮ではなく,「防災」や「強靭化」,「老朽化対策」と一体となった新たな配慮の方向性として示されたといえる.
 ここでは,港湾における「防災」と「環境」の両立を実現した事例を紹介する.
キーワード:防災と環境,粘り強い構造,コンクリート構造物,サブプレオフレーム(SPF),環境活性コンクリート
特集タイトル 浅場機能の復元・再生・創出を目指した環境配慮型構造物
特集のねらい