「環境技術」2018年1月号 記事情報

掲載年 2018
巻(Vol.) 47
号(No.) 1
12 - 17
記事種類 特集
記事タイトル 大気環境行政の現状と課題 
著 者 澤哲也
第1著者ヨミ TAKAZAWA
第1著者所属 環境省水・大気環境局大気環境課
要 旨 1.はじめに
我が国の大気環境の現状について最新のデータ(2015年度)をみてみると,二酸化窒素(NO2)の環境基準達成率は一般環境大気測定局(以下「一般局」)で100%,自動車排出ガス測定局(以下「自排局」)で99.8%であり,浮遊粒子状物質(SPM)の環境基準達成率は一般局で99.6%,自排局で99.7%であった.環境基準達成率は高い水準にあるといえる.これは,大気汚染防止法や「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM 法)」などの下で,官民挙げて固定発生源や移動発生源の対策に取り組んできた成果といえる.
一方,大気環境の保全においては,今なお,いくつかの重要な課題が存在し,これらは局所的な汚染から地球規模の汚染に至るまで多岐にわたっている.建築物の解体等工事に伴う石綿(アスベスト)の飛散は局所的な汚染であり,「水銀に関する水俣条約(以下「水俣条約」)」に対応した水銀対策は,地球規模での水銀排出量の削減を目的としている.自動車から排出される窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)による汚染は首都圏などの圏域レベルであり,微小粒子状物質(PM2.5)は国内の発生源とともに越境汚染による影響を受ける点で東アジア地域レベルといえる.
 実際には,水銀の直接吸入による健康影響や野焼きによるPM2.5の上昇は局所的であるなど,分類は容易でないが,こうした汚染は様々な要因により発生し,その対策も様々である.本稿では,大気環境の現状とこうした課題への対応について概観する.
キーワード:PM2.5,光化学オキシダント,石綿(アスベスト),水銀,越境汚染対策
特集タイトル 2018年 環境行政展望
特集のねらい