「環境技術」2018年4月号 記事情報

掲載年 2018
巻(Vol.) 47
号(No.) 4
175 - 175
記事種類 特集
記事タイトル 特集のねらい(人口減少社会における廃棄物処理)
著 者 守岡修一
第1著者ヨミ MORIOKA
第1著者所属 元 川嵜環境エンジニアリング(株)
要 旨
特集タイトル 人口減少社会における廃棄物処理
特集のねらい  わが国は「人口減少社会」に入り,今後都市構造の変化に伴い,廃棄物量の減少や財政難が予想され,廃棄物処理施設等の更新・維持計画にはそれに対応した施策が求められる.環境省は第四次循環型社会形成推進基本計画(案)(平成29年12月1日時点)でも「我が国における人口減少・少子高齢化の進展と地域の衰退」と題して課題としている.その中で,東京など大都市への人口集中は進んでいるが大都市においても一部の地域を除いて人口が減少し,地方部ではさらに大きく人口が減少すると予測され,地域の担い手の不足,消費の減退などにより地域の経済活動が低下し,老朽化した社会資本の維持管理・更新に要するコストは増大し,地域住民の共同体としての機能が低下していくとしている.
 低密度の人口地域が点在することが予測され,人口減により増加する空き家,老朽化した社会資本の更新に伴う建設系の廃棄物が増加し,ごみステーションの運営や集団回収等の実施が困難な地域の増加,ごみ出しが困難となる高齢者の増加など課題が多い.これらの現象は3R 施策についても今後に懸念される.人口変化を考慮に入れた長期的な視点での,一般廃棄物処理の広域化や将来の廃棄物処理システムにおける集約型都市構造の整備が必要となるであろう.大都市をはじめ,多くの都府県や地方の自治体レベルでも検討されてきている.他府県にまたがる広域化としては京田辺市,枚方市の例もあり,国の交付金で建設する市町村の焼却施設等については,長寿命化計画の策定や既存設備を活用した対応策が必要となるであろう.
 環境省繿コ亮広氏は「社会状況の変化に対応した一般廃棄物処理行政について」と題して,人口減少の進展で人材,財政の制約とともに廃棄物の質量の変化に対応したシステムの効率化の追求が必要であるとし,今後の方向性として,処理施設の広域化・集約化と長寿命化,民間活力の活用も視野に入れて,温暖化対策を推進するエネルギー回収の推進と災害に強い施設を推進していくとしている.
 (国研)国立環境研究所田崎智宏氏らは「人口オーナス時代の廃棄物管理―人・ごみ・施設・財政の観点から」と題して,「量」への対応として効率的な施設の集約化とともに人材,技術者の確保が必要であり,「質」への対応として高齢者ごみ出し支援など分野横断型の組織運営が必要としている.
 九州大学大学院島岡隆行教授らは「人口減少を考慮した市町村の廃棄物処理費用に関する一考察」と題して,宮崎県を対象として,各市町村のパネルデータを用い,廃棄物処理情報と人口密度や面積などの社会データからの廃棄物処理費用の予測モデルを構築し,将来の最適なシナリオを提案するとともに,今後起こりうる災害廃棄物の処理コストについても提案している.
 盛岡通関西大学名誉教授は「資源循環の地域マネジメントの展開―一般廃棄物の資源化と持続可能な消費を中心に」と題して,資源循環の原点はSDGs に示す「つくる責任つかう責任(SDG12)」であると論説し,市町の処理施設は広域化による高効率廃棄物発電を推進し,透明性のある民間委託が良いが,災害時の人材養成は必要であるとしている.
 わが国は人口減少・高齢化社会に直面しており,長期的な戦略が必要な時期に来ている.広域化・集約化による収集の効率化,施設の発電コストなど考慮し,地域に合ったスキーム作りが必要であると思われる.今回の特集にあたり,執筆していただいた先生方に心よりお礼申し上げます.