「環境技術」2018年5号 記事情報

掲載年 2018
巻(Vol.) 48
号(No.) 5
250 - 254
記事種類 特集
記事タイトル 我が国における大規模太陽光発電の現状と課題―導入拡大に向けた今後の問題点と環境影響―
Current Status and Issues of Large-Scale Solar Power Plants in Japan; Future Problems for Introduction Expansionand Environmental Impact   
著 者 増田啓子
第1著者ヨミ MASUDA
第1著者所属 龍谷大学名誉教授 
要 旨 1.はじめに
 国はエネルギー起源の温室効果ガスの総排出量を,2030年に2013年比で26%,2050年に80%の排出削減を目指すとし,原発に頼らない再生可能エネルギー(以下,再エネという)の積極的な導入拡大を推進している.2017年8月に資源エネルギー庁が「長期エネルギー需給見通しについて」を発表し,欧米に遜色のない温室効果ガス削減目標のために,2030年の電源構成における再エネの占める割合を総電力量の22〜24%とした.そのうち,太陽光は7%程度で,水力の8.8〜9.2%程度に次いで占める割合は大きい見通しとなっている.2030年度の太陽光発電は現在の約2倍の64GW と見込まれるが,現在FIT や補助金などの支援で普及していることから将来的にはシステム費用やFIT 価格及び国民負担の賦課金の動向が大きな鍵となりそうだ.太陽光や風力は自然の条件によって出力が変動するため,再エネに置き換わるためには調整電源としての火力発電が増えるなど,現時点では安定供給面やコスト面で様々な課題が存在するものの,資源は枯渇する恐れがなく,環境に優しく,国内生産できることから,エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で,重要な低炭素の国産エネルギー源とされている.
 今後さらなる普及においては,大幅な発電コストの低下が期待でき,潜在的な導入量が大きい,産業の裾野が広い,新たな雇用が創出できる等が考えられ,太陽光発電の導入による便益は費用を上回る経済性を有している可能性はある1)とされているが,経済性を有しているのはとくに出力規模の大きなメガソーラーである.
 一方,発電時には温室効果ガスを排出せず,地球温暖化対策の観点から望まれる自然エネルギー源ではあるが,パネルを製造するには高温でシリコン原料を融かすため膨大な電力が必要で,地球規模では石炭の枯渇や森林破壊が,大規模建設では広大な自然破壊が進んでおり環境に優しいと言うのは疑問である.これらの開発において,国は2011年に環境影響評価法施行令を改正し,風力発電を対象事業として追加したが,太陽光発電は対象外となったため,近年,急増している1MW以上の大規模発電(メガソーラー)の建設に反対する住民も少なくなく,建設計画に対して住民訴訟も起きている.規制が必要と判断した地方自治体では出力規模や開発面積に応じて,独自に環境影響評価条例等で対象事業とする動きやガイドラインを導入し始めている.しかしながら大規模なものに限られているため,親しまれていた広大な山林や農地などがソーラーパネルの設置に伴い景観(自然景観・文化財等),動植物・生態系,反射光・反射熱,土砂流出,水象など生活環境への影響が現れているなど多くの解決すべき課題を抱えている.
キーワード:太陽光発電,再生可能エネルギー,環境影響評価,発電量
特集タイトル 21世紀末を見据えたエネルギーのありかた
特集のねらい