「環境技術」2018年5号 記事情報

掲載年 2018
巻(Vol.) 48
号(No.) 5
260 - 264
記事種類 トピックス
記事タイトル 外来海洋生物の侵入と在来生物・生態系への影響
Impacts of Non-Indigenous Marine Organisms on Native Species and Ecosystems
著 者 岩崎敬二
第1著者ヨミ IWASAKI
第1著者所属 奈良大学
要 旨 1.はじめに「世界中の海はつながっている」船を発明し,七つの海の隅々にまで航海できるようになったヒトは,その自負を込めて海の拡がりをこのように表現してきた.しかし,船を創り出すことができなかったほとんどの海洋生物にとって,世界の海は分断されている.勾配を持ちつつ変化する水温や塩分,一定方向の海流,地形上の障害となる海峡などで,海洋生物の棲み場所は物理的にも,化学的にも,生物学的にも分断され,それぞれの海域に固有な種や海域ごとに異なった生態系が成立している.このギャップが,海の外来生物問題を生み出してきた.
 20世紀後半の50年間で,世界全体の貿易量は14倍に増加しており,そのほとんどは,船舶が担ってきた.例えば,日本の貿易品の99.5%は船舶によって輸送されている.現在では全長400m,10万トンを超える巨大船や,速さ30ノット(時速約55q)以上の高速船の建造が世界中で競われる時代となり,人と物資の輸送は地球規模で増加の一途をたどっている.この地球規模の活動は,生物の移動を妨げてきた様々な障壁を突き破って,人為的な越境者である外来生物を次々と発生させ,その一部が定着,繁殖,時に大発生して在来生物や生態系に大きな負の影響を及ぼし,水産業などの産業にも大きな損害を与えている1).
キーワード:外来海洋生物,現状,移入手段,生態系への影響,対策
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特集のねらい