「環境技術」2018年6号 記事情報

掲載年 2018
巻(Vol.) 48
号(No.) 6
295 - 295
記事種類 特集
記事タイトル 特集のねらい(宇宙の眼と鳥の眼による環境測定技術―人工衛星からドローンまで―)
著 者 駒井幸雄
第1著者ヨミ KOMAI
第1著者所属 大阪工業大学
要 旨
特集タイトル 宇宙の眼と鳥の眼による環境測定技術
―人工衛星からドローンまで―
特集のねらい  人工衛星に積載された各種のセンサーを使って,宇宙から地球表面付近の状態を広範囲に観測するリモートセンシング(Remote Sensing)は,1972年に米国のNASA が開発し打ち上げたLandsat1号に始まって以来,その進歩と成果はめざましいものがある.また,古くから行われてきた航空機の写真撮影は,これまでも地形図の作成や森林調査に欠かすことができない地上の情報を提供しており,最近の航空機に搭載されたレーザーを用いた測距法では地盤高の分布や変化を高精度で得ることを可能にしている.さらに,ドローンは,例えば地上100〜200mの低高度で観測ができる.言うならば鳥の目の視点から地上を見ることができる.これまでの人工衛星や航空機による地上観測とは質的に異なる多彩な情報を,低価格で入手ができ特別な操作技術を必要としないドローンを使えば,誰もが容易に得ることができるため,ここ数年の間にドローンを活用した調査や研究は急速に進展している. 
このように,宇宙から地上付近までの様々の高さから地球表面の状態を観測できるリモートセンシングは,地上での調査では得られない広範囲の多種多様な情報を,同時性をもって取得できるという大きなメリットがある.その対象も,自然環境に加えて社会環境を含めた分野にも広がっており,環境測定技術としての有用性や可能性,およびさらなる発展が期待されている.本特集では,地上の調査では得られない空からの情報を我々に提供するリモートセンシングによる環境測定技術について,各分野の専門家に紹介いただくとともに課題や将来の展望を取りまとめていただいた.
 第1席では,「人工衛星リモートセンシングによる最新の環境測定技術と展望」(作野裕司;広島大学大学院)として,人工衛星によるリモートセンシング(衛星RS)から得られる基本的な環境測定技術の説明と将来展望について,著者らの研究事例を含めて全体的な紹介がされた.
 第2席の「高解像度人工衛星リモートセンシングによる大阪湾の赤潮動態解析」(小林志保;京都大学,中田聡史;(国研)国立環境研究所)では,衛星RS の具体事例として,大阪湾における赤潮動態を解明するために,現場海域調査結果から最適化した衛星Chl-a と,他の人工衛星の水温場と光学特性データを総合的に解析した結果が示された.
 第3席では,「航空レーザー測距法による熱帯泥炭湿地林の環境変化の評価」(都築勇人;愛媛大学,末田達彦;愛媛大学名誉教授)として,航空機搭載のレーザー測距機を使った反射物までの距離,航空機の位置・姿勢情報と組み合わせて三次元的位置を計測する航空レーザー測距法の紹介と,熱帯泥炭湿地林の植生,地下の土壌を含めた生態系全体の炭素収支の推定における航空レーザー測距法の優位性が論ぜられた.
 第4席の「ドローンによる環境測定技術の可能性―農村地域での活用事例から―」(渡辺一生;京都大学)では,農村地域におけるドローン近接リモートセンシングとして,水稲の生産と害獣のモニタリングについての紹介を通して,ドローンによる環境測定技術の特徴と将来的な可能性について述べられた.
 第5席の「人工衛星とドローンの組み合わせによる環境測定と評価」(高山成;大阪工業大学)では,鳥取砂丘とインドネシアの熱帯泥炭湿地林の二つの事例を取り上げ,人工衛星とドローンという異なるプラットフォームで得られたリモートセンシングデータをGIS 上で統合することにより,環境の空間的・時系列的な解析が行った結果が紹介された.
 本特集で取り上げられた人工衛星,航空機,そしてドローンという異なったプラットフォームによるリモートセンシングは,環境を視覚的に把握することができる優れた技術である.本特集はその一端の紹介ではあるが,その理解と利用についてのさらなる興味を持っていただければと思う.