「環境技術」2018年6号 記事情報

掲載年 2018
巻(Vol.) 48
号(No.) 6
312 - 316
記事種類 特集
記事タイトル ドローンによる環境測定技術の可能性―農村地域での活用事例から―
The Capability of the Drone Environment Measurement Technology; A Case Study in the Rural Area
著 者 渡辺一生
第1著者ヨミ WATANABE
第1著者所属 京都大学東南アジア地域研究研究所
要 旨 1.はじめに
 小型無人航空機,いわゆるドローンと呼ばれている空飛ぶロボットが脚光を浴び始めて,早4年が経とうとしている.ドローンは,第二次世界大戦中に戦闘機パイロットの射撃訓練に利用された無人の固定翼機が起源で,その後も主に軍事用途として発展してきた.そして2014年頃を皮切りに,民生用ドローンの活用が空撮カメラマンや手持ちカメラを趣味としていた人々の間で広がり,同時に,これまでリモートセンシングや地理情報分野に携わっていた研究者や実務者の中からも,詳細な環境情報の取得や災害時における迅速な情報把握のためにドローンを活用する動きが出てくるようになった1,2).
 環境情報の取得を目的としたドローンの活用において最も有利な点は,能動的に高頻度かつ高精細に情報が得られることである.これまでの衛星リモートセンシングによる観測では,回帰頻度や天候等の影響により適切な情報を得ることが難しい場合も多かった.このような物理的制限を取り払い,いつでも自分が望む時間・場所で1oでも1pでも,観測者が望む精度でデータを取得することができる点が,ドローンの魅力である.したがって,数百ヘクタール程度の狭い範囲に限っては,環境観測にドローンを用いる利点は非常に高い.
 上述した利点を活かせるドローンのフィールドの一つとして,農村地域での環境モニタリングが挙げられる.農村地域においては,過疎・高齢化の中で地域の生業や資源をどのように守り引き継いでいくかは非常に重要な課題である.2017年に入ると,農薬散布ドローンの利用を後押しする施策が進み3),また,民間企業においては農作物の成育モニタリングサービスも始まるなど4,5),農村地域におけるドローン利活用の拡大の兆しが見られる.そこで本稿では,筆者が実施している農村地域におけるドローン近接リモートセンシングとして水稲生産及び害獣のモリタリングについて紹介しながら,ドローンによる環境測定技術の特徴と将来的な可能性について述べる.
キーワード:ドローン近接リモートセンシング,農村,水稲生育,獣害,地域
特集タイトル 宇宙の眼と鳥の眼による環境測定技術
―人工衛星からドローンまで―
特集のねらい