「環境技術」2018年6号 記事情報

掲載年 2018
巻(Vol.) 48
号(No.) 6
317 - 321
記事種類 特集
記事タイトル 人工衛星とドローンの組み合わせによる環境測定と評価
Techniques for Environmental Observation by Combining UAV and Satellite Remote Sensing
著 者 高山 成
第1著者ヨミ TAKAYAMA
第1著者所属 大阪工業大学
要 旨 1.はじめに
 リモートセンシングとは,主に航空機や人工衛星に搭載した測定機器を用いて,ある波長域の電磁波に対する地球表面の反射や放射を測定し,地球表面の対象物に関する情報を得ることである.代表的な地球観測衛星であるアメリカのLandsatは,1972年に1号機が打ち上げられて以来,現在の8号に至るまで40年以上にわたり,光学センサによる地上観測を続けている.Landsat は太陽同期準回帰軌道と呼ばれる極軌道を,一日に何周も周回しながら連続的に観測を行い,16日ごとに地球上の全く同じ場所を通過する.定期的に同じ場所に戻ってくる軌道を「(準)回帰軌道」と呼び,人工衛星を投入すれば地球上のほとんどすべての場所を,定期的に観測できる利点がある.
 人工衛星リモートセンシングの活用により,地球規模で環境変化を定期的に観測・監視できる.人工衛星リモートセンシングと対象とする地域の地表面の実態との関連は,地上観測により明らかにする必要がある.近年,廉価なドローンが急速に普及しており,搭載されるカメラも4K 撮影が可能な高解像度なものも多い.このため空撮の特性を活かした新たな地上観測のツールとして,ドローンの有用性が認識されつつある.ドローンは航空法上,離陸ポイントからの対地高度で150m 以内の高度に飛行が限定される.有効なカメラの画角を90度,解像度を4096×2160ピクセル,飛行高度を100m とすると,概ね200m×105mの範囲が1枚の画像でカバーでき,このとき地上における空間分解能は約5pとなる.
 最近,ドローンで撮影した複数の写真を,画像判別処理によりマッチングするとともに,空中三角測量を行って3D モデルを構築するソフトウェアが,比較的低価格で普及している.こうしたソフトウェアを使えば,あらかじめ設定した地上観測の対象エリアを複数の画像でカバーして,さらに一枚の合成画像に統合することができる.また,ドローン空撮を行う際,飛行制御・空撮支援を行うアプリを使用すれば,あらかじめ設定したルートを一定高度で飛行させながら,カバレッジ(写真の重ね合わせ率)を設定した連続撮影を行うことができる.すなわち,1〜数回の飛行で数q四方のエリアを,オーバーラップ(ステレオ)撮影することが可能である.
 ドローン空撮を活用することにより,これまで簡単に行えなかった“鳥の目”による地上観測を比較的容易に行えるようになった.さらに人工衛星により取得された情報との関連を解析することにより,これを“宇宙からの視点”に拡張することが期待できる.また,過去に取得された人工衛星画像はアーカイブ化されているので,時系列の環境評価を行うことも可能である.本稿ではドローンとLandsat シリーズを活用して,筆者らが行っている研究事例について紹介する.
キーワード:ドローン空撮,合成空撮画像,地理情報システム(GIS),人工衛星リモートセンシング,環境モニタリング
特集タイトル 宇宙の眼と鳥の眼による環境測定技術
―人工衛星からドローンまで―
特集のねらい