「環境技術」2010年6月号 記事情報

掲載年 2010
巻(Vol.) 39
号(No.) 6
321 - 321
記事種類 特集のねらい
記事タイトル 「改正土壌汚染対策法と技術・社会的諸問題」特集
著 者 福永 勲
第1著者ヨミ FUKUNAGA
第1著者所属 元 大阪人間科学大学
要 旨
特集タイトル 改正土壌汚染対策法と技術・社会的諸問題
特集のねらい  本特集の主題である土壌汚染に関わる法律「土壌汚染対策法」が平成15年2月15日に施行されて,早くも7年あまりが経過した.その間,土壌的にも持続的発展が可能な社会の構築に取り組まれてきた.すなわち,次世代社会の人々,我々の子ども,孫,ひ孫が,健全,健康に暮らすために,土壌汚染のリスク軽減に取り組まれてきた.もっと卑近に言えば事件や係争も発生して,そのたびに具体的な土壌汚染リスクは,どこにあり,どのような処理処分をすれば,その健康リスクはなくなるのか,あるいは安全・安心なレベルになるのか,その判定方法は,などが問題となってきた.また,本学会誌では,「土壌汚染のない国づくりを求めて」(Vol.34(12)(2005)),「土壌汚染とリスク評価」(Vol.36(3)(2007))という内容で特集を組んできた.
 このような背景の下に,昨年4月には,「土壌汚染対策法」が改正された.その速報として,昨年10月号,今年1月号で,その要点を環境省様にご執筆いただいた.そして,その後,この4月1日政省令が改正・施行された.
 そこで,本特集では,その施行の結果,法令とともに,何が変ったのか,土壌汚染状況調査の位置づけはどうなったのか,そのために技術的にどう強化しなければならないか,社会的にはどのような影響をもたらすか,などに関心のある読者のために,政省令も含めた法律改正の詳報を技術・社会諸問題を含めて特集した.
 まず,環境省水・大気環境局土壌環境課今野憲太郎氏には,土壌汚染対策法の改正で,どこが変ったのかをわかるように,とくに土壌汚染状況調査の位置づけ,指定基準を超過した場合の措置,区域の指定,形質変更時の措置,汚染土壌搬出等に関する規制の強化などで詳しくご説明していただいた.
 つぎに,前述の法令改正に伴って対応しなければならない自治体における事例として,大阪府環境農林水産部環境管理室環境保全課奥田孝史氏には,大阪府条例改正内容を中心に,土地の履歴調査制度の充実,自主調査等の実施に関する指針の作成,土地所有者の責務の追加,汚染土壌の搬出規制の追加,などをご説明願った.なお,大阪府条例は,ダイオキシン類も対象物質に含めていることが特徴である.
 つぎに,上記のように今回土壌汚染状況調査の内容が強化されたので,技術的にも発展させなければならない.そこで,(社)土壌環境センター中島誠氏には,改正法における土壌・地下水汚染調査方法を踏まえ,オンサイト処理やリスク評価のための調査方法の現状と課題について述べていただいた.
 さらに,改正法で望まれるこれからの土壌・地下水汚染対策技術を(社)土壌環境センター橋本正憲氏にご説明願った.今後どのように土壌・地下水汚染に対応していくべきかについて,その考え方を,土地売買の場合,土地の形質の変更の場合,それ以外の場合に分けて説明していただいた.
 つぎに,弁護士赤津加奈美氏に土壌汚染に関して唯一公刊された裁判例の事例と判決をもとに,土壌汚染土地の売買に関する売主の法的責任について紹介していただいた. さらに,社会で一般市民が土壌汚染のない社会を求めて活動している事例を NPO土壌汚染対策コンソーシアム飯田哲也氏に紹介していただいた.
 最後に,環境省の委託事業でまとめられた事業者が行う土壌汚染に関するリスクコミュニケーションのガイドラインを(財)日本環境協会事業部土壌環境課堀河淳子氏にご紹介いただいた.
 以上,土壌汚染対策法の改正でどこが変ったのかについて,今後の技術的・社会的な課題や各界で努力されている内容を特集した.読者の皆様に,参考になれば幸いである.なお,お忙しい中ご執筆いただいた諸先生方にあらためて感謝いたします.