「環境技術」2018年2月号 記事情報

掲載年 2018
巻(Vol.) 47
号(No.) 2
66 - 72
記事種類 特集
記事タイトル 自主管理のための排水の生物応答評価とその課題
著 者 鑪迫典久、新野竜、山本裕史
第1著者ヨミ TATARAZAKO
第1著者所属 愛媛大学
要 旨 1.はじめに
 近年,日々の暮らしの中で使用されている化学物質の種類は年々増加しており,毒性情報が未知のものや排水規制が追いついていないものも含まれているため,水環境中の水生生物に影響を及ぼす可能性が懸念される.諸外国では,物質ごとの濃度規制に加え,複数化学物質による複合環境影響や,上記の未知物質および規制未対象の影響評価手法として,生物応答を用いた総体的評価手法が排水管理の一手段として実施されてきている1).
 我が国では,2009年12月にまとめられた「今後の水環境保全の在り方について(中間取りまとめ案)」2)をきっかけとして,2009年度に,排水の生物応答手法の導入の在り方を検討する「生物応答を利用した水環境管理手法に関する検討会」3() 座長:須藤隆一)が環境省の委託事業として,本手法の必要性・技術的対応可能性等を検証し,導入する場合の枠組みの在り方や課題等について検討を行ってきた.2014年7年に施行された「水循環基本法」の「水循環基本計画」4)の中では,水環境への影響や毒性の有無を総体的に把握・評価し,必要な対策を講じるための現行排水規制を補完する手法として,生物応答を利用した排水管理手法の有効性が検討された.2015年11月に環境省より「生物応答を利用した排水管理手法の活用について」(以降「報告書」と記載)5)が報告され,その中で現行の個別物質規制と,本手法の総合影響評価という,二者の目的の違いが再確認されたが,水質汚濁防止法の排水基準の遵守とは異なるため,法令の遵守を補完するための事業者による排水管理の自主的取組という位置づけが取られた.しかしこの報告書の中では自主的管理についての記載が乏しいため,より現実的な側面からここで筆者らの解釈を紹介する.
キーワード:環境リスク評価,海水,外来種,動物福祉,試験精度
特集タイトル 生物応答を利用した排水管理法(WET 手法)の現状と展望
特集のねらい