「環境技術」2018年2月号 記事情報

掲載年 2018
巻(Vol.) 47
号(No.) 2
77 - 82
記事種類 特集
記事タイトル 環境省における生物応答を利用した水環境保全に関する検討について
著 者 甲斐文祥
第1著者ヨミ KAI
第1著者所属 環境省
要 旨 1.はじめに
 環境省では,環境庁の当時から,長年にわたり水質汚濁防止法等の施行等を通して水環境保全,特に水質汚濁の防止に取り組んできた.我が国の水環境行政は,第二次世界大戦後の産業復興期に拡大した重大な公害問題に対処するため昭和33(1958)年に制定されたいわゆる旧水質二法を端緒に始まり,その後,同法の限定的な規制内容を抜本的に改善した水質汚濁防止法が昭和45(1970)年に制定されるに至り,現在も続く全国一律の排水規制や排水基準への直罰の導入などの基本的な法制度が整備された.また,翌昭和46(1971)年には,環境行政を一元的に担う組織として環境庁が設置され,この際,国における水質汚濁防止法の施行等が同庁に委ねられた.さらに,昭和40年代後半から50年代にかけては,閉鎖性水域における水質汚濁等の環境悪化に対する対策が急務となり,こうした動向に対応するため,水質総量削減制度の導入,瀬戸内海環境保全特別措置法,湖沼水質保全特別措置法等の各種の法制度の整備や施策が進められた.その後も,地下水汚染防止や事業場における事故時の措置に係る対策の強化等が順次講じられ,現在の制度体系が形づくられた.こうした取組により,地域や水域等によっては依然として課題が残されているものの,中長期的には公共用水域における水質環境基準の達成状況は改善してきており,かつて全国的に生じていた激甚な公害に対する対策は大きな成果を上げてきた.
 一方で,近年の水環境行政には,国民のニーズの多様化等の社会情勢の変化を踏まえつつ,健全な水循環の確保,生物多様性の保全を視野に入れた取組等を,地域に応じて展開していくことが求められている.このように水環境行政に求められる取組も多様化する中,環境省でも,従来の公害防止を目的とした排水規制等は基盤的な施策として維持しつつ,水生生物の保全に関する取組に力を入れている.本稿では,こうした水生生物の保全に関する取組の一つとして,近年環境省で検討を進めている化学物質に対する生物応答(バイオアッセイ)を水環境保全に活用する手法について,最近の検討状況と今後の展望について紹介させていただく.
キーワード:水環境,生物応答試験(バイオアッセイ),水生生物保全,化学物質管理,地域に応じた自主的取組
特集タイトル 生物応答を利用した排水管理法(WET 手法)の現状と展望
特集のねらい