「環境技術」2018年2月号 記事情報

掲載年 2018
巻(Vol.) 47
号(No.) 2
83 - 89
記事種類 特集
記事タイトル 排水の生態毒性試験(生物応答試験)について
著 者 新野竜大、山本裕史、鑪迫典久 
第1著者ヨミ NINO
第1著者所属 (株)LSIメディエンス
要 旨 1.はじめに
 身の回りの環境や健康への意識が高まる中,人間活動に伴って環境中に放出される極微量の化学物質によるヒトや環境,野生生物への影響に関心が向けられている.地球規模の環境問題を議論する上で欠かせないテーマとなる「化学物質管理」について,国際的な取組みの重要性が増している.1992年に国連環境開発会議(地球環境サミット)が開催され,環境と開発を両立させるための課題が「アジェンダ21」としてまとめられた.この中に化学物質管理のために取り組むべき課題(化学物質リスクの国際評価の充実,分類と表示の調和,有害物質のリスクに関する情報交換等)が提示された.その後,2002年の持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD: World Summit onSustainable Development)において,化学物質管理に関する実行計画(ヨハネスブルク実行計画:WSSD2020目標)が合意された. その内容は,「予防的取組みに留意しつつ,透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価・管理手順を用いて,化学物質がヒトの健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で,使用,生産されることを2020年までに達成する」となっている.
 さらに,2006年の第1回国際化学物質管理会議(ICCM: International Conference on Chemicalmanagement)において,WSSD2020目標達成のための戦略として,「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM: The Strategic Approachto International Chemicals Management)」が採択され,目的を達成するために関係者が行動すべき内容を世界行動計画(Global Plan of Action)として示した.世界行動計画では,世界各国・地域で化学物質管理に関する法規制の改正や見直しを推進する一方で,地域の特性にあった行動を選択するという柔軟な内容となっている.
 一方,環境中の化学物質の影響を議論する上で一つの大きな課題が存在する.一般環境中で想定される複数の化学物質に同時に曝露された場合の影響(複合影響)についてであり,これらの評価手法についての検討事例はあまり存在しない.こうした中,世界保健機関(WHO)による国際化学物質安全性計画(IPCS)プロジェクトの一環で,「複数物質への複合曝露」を対象としたリスク評価枠組み(WHO/IPCS フレームワーク)1)が提唱されるなど,国際機関や欧米諸国において関連するガイダンス文書の作成,評価事例等の公表が行われており,複合影響評価は研究段階に加え,管理・活用段階に向けての取組みも進みつつある.
キーワード:生態毒性試験(生物応答試験),化学物質,複合影響,TRE/TIE,標準化
特集タイトル 生物応答を利用した排水管理法(WET 手法)の現状と展望
特集のねらい