「環境技術」2018年7号 記事情報

掲載年 2018
巻(Vol.) 47
号(No.) 7
400 - 403
記事種類 連載
記事タイトル 新・関西の川歩き(11)昆陽池―行基の残したため池と伊丹の歴史―  
著 者 古武家善成
第1著者ヨミ KOBUKE
第1著者所属 兵庫医療大学
要 旨 1.猪名野台地
 今回の対象は川ではなく兵庫県伊丹市(人口197,000人)にあるため池の昆陽(こや)池である.ため池も私たちの身近にある水環境で,私たちの生活と密接に結び付いており,里川と同じく“里”の水空間を形成している.ましてや,後で述べるように“ため池王国”の兵庫県で昆陽池は堤体長さ第3位(2,200m)を誇る大きなため池であり,地域との関係も深い.昆陽池は猪名野台地(伊丹台地)の中心に位置する.この台地は海抜65m で猪名川と武庫川の間(狭いところで幅4q),兵庫県南東部から大阪府北西部に形成されており,西摂(せいせつ)平野の一部を成す.重要文化財に指定されている大阪の住吉大社の由来を述べた『住吉大社神代記』によれば,猪名川(為奈川)と武庫川の川の女神同士が若者の姿で現れた住吉大神(住吉大神は猪名川上流から神殿用木材を運び出し流していた)をめぐって妻争いを行ったとき,為奈川の女神が大石を投げつけて武庫川の女神に勝ったが,そのため猪名川に大石がなくて芹が生え,武庫川は大石ばかりで芹が生えないようになったという説話がある.これは,両河川がこの地域で“暴れ川”であったことを示すと言われている.いずれにせよ,この地域は両河川の氾濫原でありその先には浅海が広がっていたが,12万年前頃より隆起が始まった.この隆起が,東側が西側より高くなる傾動隆起となったため,台地東側には猪名川の浸食による明瞭な崖が形成された.この段丘崖は高低差15〜20m あり,現在は,後で触れる伊丹緑地として昆陽池公園から市中心部へと円弧上に連なる水と緑のネットワークを構成している.
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