「環境技術」2019年1号 記事情報

掲載年 2019
巻(Vol.) 48
号(No.) 1
26 - 29
記事種類 トピックス
記事タイトル ゼロ・ウェイストによる過疎化への挑戦―徳島県上勝町は生き残れるのか―
著 者 藤井園苗
第1著者ヨミ FUJII
第1著者所属 NPO法人ゼロ・ウェイストアカデミー
要 旨 1.はじめに
 四国の山間の町,徳島県上勝(かみかつ)町.平成30年10月1日付で人口は1,559人.四国で一番小さい町と冠されることがあるが,それは「町」として人口が四国で一番少ないという意味である(写真1).
 上勝町は,数十年にわたって「地域活性化」「町おこし」の分野で注目をされてきた.所以は,葉っぱを「つまもの」として販売をし,山の高齢者たちが納税するほどの経済的効果をあげたコミュニティビジネスの「いろどり」,そして2020年までに焼却・埋立ごみをなくす最善の努力をすると日本の自治体で初めて宣言を行った「ゼロ・ウェイスト」,この日本の課題解決をリードする,経済と環境の先進的な取り組みが,同じ町しかも山間の小さな町で行われていることに関心を寄せる人が多いからであろう.
 上勝町を視察する人が毎日のように来町し,視察案内がビジネス化するという経済効果も生んでいる.一時期は,年間に視察者が約5,000人訪れ,人口1人当たりの視察者数は日本一だとも言われた.そして,今でも国内外を問わず,課題解決のヒントを得に上勝町を訪れる人,メディアは後を絶たない.
 交流人口が増えれば,移住者も増え,最重要課題である過疎化を食い止めることができる,そう思って常に「いろどり」も「ゼロ・ウェイスト」も自分たちの活動をブラッシュアップし続けている.
 実際に,移住者の数は明らかに増えており,これまで人の出入りが多くなかった地域住民からすると,「最近,知らん人がようけ増えた」ということが多い.過疎化が激しい徳島県の中で,人口の社会増は上勝町を含む数少ない町だけである.
 かと言って,自然減を補えるほどの転入者が来ているわけではない.つまり,昭和35年には6,000人近くいた人口も,今では1,600人を切るまでに過疎化は進んでいるのである.そのスピードは移住者増により緩やかになったと慰めを言われるが,高齢化率52%が物語っているように,人口ピラミッドは極端なT字のようになっており,ここ数年のうちに自然減がピークを迎え,あとは逆に若返りが起こるだろう.高齢化率が下がることは望ましいことである.しかし,絶対数が減ることにより,かつ山と共に生きるノウハウを知らない年代層が主を占めることにより,80%を山林(しかも民有林)が占める広大な町土を「維持」していくことすらままならない状況が,すぐそこに迫っている.課題先進地の上勝町は,どこまでいっても課題先進地なのである.
キーワード:過疎,ごみゼロ
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