「環境技術」2019年1号 記事情報

掲載年 2019
巻(Vol.) 48
号(No.) 1
6 - 9
記事種類 特集
記事タイトル 地球環境問題の現状と課題―気候変動対策をめぐる我が国の新たな挑戦―
著 者 秦 泰之、菊池崇史
第1著者ヨミ HATA
第1著者所属 環境省地球環境局総務課
要 旨 1.はじめに
近年,気候変動の影響が深刻化しています.昨年の夏には,日本各地で猛暑や,7月の西日本豪雨に代表されるような異常気象が発生し,甚大な被害をもたらしました.これらの異常気象について,世界気象機関(WMO)でも,日本を含む世界各地の顕著な降水や高温の増加傾向は,長期的な地球温暖化の傾向と関係しているという見解が示されております1).
 こうした現状に対し,CO2をはじめとする温室効果ガスを削減する「緩和」と気候変動の影響を回避・軽減する「適応」の両方を気候変動対策の車の両輪として推進することが必要不可欠です.緩和策については,パリ協定で定められている2℃目標を確実に達成することを目指し,その上で,1.5℃まで抑える努力を継続していくことが重要です.我が国としては,地球温暖化対策計画に基づく取組を着実に実施し,まずは温室効果ガスの2030年度26%削減目標の達成を目指しています.加えて,現在,2050年80%削減を視野に,世界の脱炭素化を牽引し,環境と成長の好循環を実現する長期戦略の策定に向け,多様なステークホルダーが参画した形で議論を行っています.
 また,我が国は,国際的にも気候変動枠組条約締約国会議(COP)やG20の場で,世界的な気候変動対策の機運向上に貢献しており,世界全体での脱炭素社会の構築に向けて,最大限の取組を進めています.特に,昨年12月にポーランドで行われたCOP24では, パリ協定の実施指針が策定され,2020年以降の温室効果ガス削減のための道筋がついたことは大変大きな成果と言えます.加えて,昨年4月に新設された国際協力・環境インフラ戦略室を司令塔として,国外での気候変動対策にも積極的に取り組んでおります.
 適応策については,気候変動適応法が昨年12月1日から施行されました.それに先立って同法に基づく気候変動適応計画が閣議決定され,あらゆる関連施策に適応の考え方を組み込むことで,多様な分野での気候変動適応を推進していく旨を明記しております.今後は,気候変動適応法と気候変動適応計画に基づき,環境省が旗振り役となり,関係府省庁が一丸となって,適応策の充実・強化を図ります.そして,環境省としては,実効的な気候変動対策にすべく,緩和策と適応策を社会・経済と統合的に推進していくことが重要です.今後も,日本,世界の気候変動対策をリードするために,環境省は,社会の多様な主体を内包し,将来にわたって質の高い生活をもたらす「新たな成長」を実現する環境政策を実行してまいります.
気候変動影響,長期戦略,パリ協定,COP24,気候変動適応法
特集タイトル 2019年環境行政の展望
特集のねらい