「環境技術」2019年5号 記事情報

掲載年 2019
巻(Vol.) 48
号(No.) 5
255 - 259
記事種類 特集
記事タイトル 企業にとってのSDGs
著 者 深尾昌峰
第1著者ヨミ FUKAO
第1著者所属 龍谷大学
要 旨 1.はじめに―社会構造の変化と私たち―
  日本社会は2008年から人口減少の局面に入り, 2060年の人口は86,737,000人と予想されている. この構造の変化は,私たちの暮らしや政策に大き な影響を及ぼすことになる.
  一方で,国連の世界人口推計(2019)によれば, 人口爆発は継続しており,1987年に5 0億人を突破 した世界人口は2019年には7 7億人,2050年には97 億人,2100年には109億人になるとされている. 温暖化に伴う異常気象や人口爆発に伴う食糧不足 は年々深刻さを増している.
 その中で,日本は人口減少フェーズを迎え,社 会構造の大変革期を迎えているということは,人口ボーナス期をベースに作られてきた諸政策や規 制が社会の実態に徐々に合わなくなってきている ということである.例えば,経済諮問会議の推計によると,社会保障に関してもそれらを支える資 金,人的リソース双方において不足が生じ,これまでの制度の維持はかなり困難になってくると指摘されている.
 また,地球環境保全も深刻な状態であり,パリ 協定において地球の気温上昇の上限を産業革命以 前の平均気温から2度以内に食いとめるべく世界 各国が合意したわけであるが,温室効果ガスの削 減は特に先進国にとっては急務の課題である.日 本の温室効果ガス削減目標は,2050年に2013年比 でマイナス8 0%としている.マイナス8 0%が達成 された世界は暮らし方にどのような変化をもたら し,どのようなイノベーションを必要とするのか を我々は真剣に考えなければいけない.それはい わば,「近代のつくりなおし」の様相を呈していくわけであるが,その文脈でSDGsを捉えること に一つの大きな意味があると考える.
 産業革命以降の私たちの社会のあり方,暮らし 方を見つめ直し,行き過ぎた資本主義を修正し, 新たな社会像の構築に向かって人類をあげて努力 する.それがSDGsの世界観だと私は考えている. それは決して敗北的・撤退的な営みではなく,科 学技術・社会技術両面の多様なイノベーションを 誘発し,新たな価値創造が行われる素地とみるこ とができる.日本においては同時に人口減少とい う「危機」を契機として社会のあり方を見直す 「チャンス」にする発想が求められている.
キーワード:SDGs,インパクト投資,社会的投資,相転移
特集タイトル SDGsの示す社会と実現への課題
特集のねらい