掲載年 |
2020 |
巻(Vol.) |
49
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号(No.) |
4
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頁 |
179 - 179 |
記事種類 |
特集
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記事タイトル |
特集のねらい<AI・IoTの導入を進める廃棄物処理施設の開発動向> |
著 者 |
守岡修一 |
第1著者ヨミ |
MORIOKA |
第1著者所属 |
元川重環境エンジニアリング |
要 旨 |
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特集タイトル |
AI・IoTの導入を進める廃棄物処理施設の開発動向 |
特集のねらい |
わが国の廃棄物処理は,廃棄物処理法を基本に施策が進められ,焼却処理は十分にその役割を果たしてきた. 一方,廃棄物処理の主体である自治体では,安心・安全とともに経済性の面から廃棄物処理施設の計画・建設・維持運営管理を一括して発注する方法が多くなってきている. その社会的背景としては少子高齢化,労働人口の減少による有能な運転員の減少が大きな要因であるが,さらに,運営事業の合理化を目指した操業とメンテナンスコストの最適化が求められている.安定操業による発電の効率化とともに,運転の高度化のために,遠隔監視・運転支援の拡充を図り,ビッグデータを蓄積し,その活用にAI,IoTの技術が必要となってきている.また,ビッグデータを用いてメンテナンスに生かす予知保全も進んできている. 廃棄物処理施設は,以前から,ごみクレーンの自動化によるごみの均質化,自動燃焼制御による燃焼の安定化,ダイオキシン類など未燃物発生やCO,NOx 生成の抑制とともに,安定した発電供給を目指して開発されてきた経緯がある.AI,IoTの技術によってこれらがどのように進んでいるのか,プラントメーカー各社の取り組みを論じて頂いた. を画像解析で数値化して均質に撹拌するごみクレーン自動化と,燃焼制御にAI を活用して燃焼の自動化により安定運転を実現し,またICT を使って運転データを見える化し,運転改善を図るとともに,新技術開発に役立てている.川崎重工業噛政瑛大氏は,施設運転データ(プロセスデータ,燃焼映像,手動操作運転履歴)から操作支援にAI 運転支援システムを開発し,実機に応用して,操作リコメンドをAI 技術の指標であるROC 曲線で評価している.叶_鋼環境ソリューション小野雄基氏らは,測距センサでごみピットの状態を3D 計測し,自動クレーンによりごみを均質に撹拌することと,ガス化溶融炉の排ガスO2濃度をプロセス情報から合成変数として,早期にCO 変化を予測して燃焼の安定化を検証している.溶融出滓口の画像解析により開口率を維持する手法で安定化も検証している.日鉄エンジニアリング兜x岡修一氏は,低炭素型シャフト炉にディープラーニング手法を用いて,ボイラ蒸発量の変動を抑制し発電の効率化を実現した.設備の保全を予知するシステムの紹介と,炉内をドローンで検索,機器異常にサーモグラフィーを活用している.日立造船葛゚藤守氏は,運転支援・トラブル対応・データ解析・遠隔調整で構成される遠隔運転システムと,AI による燃焼変動予測・ごみピット3次元マップ・ごみクレーンAI 自動・AI による保全で構成される運転支援システムによる,最適運転管理システムを開発したことを報告している. 各社とも,プロセス値の瞬時値または至近平均値データで判断する自動化には,操作員の微調整が必要であったが,これら微調整を含む過去の種々のビッグデータを解析するAI によって,安定で信頼性の高い自動化を目指していると言える.また,本社にベテラン技術者を必要とした遠隔監視を,本社でビッグデータを解析して現場にフィードバックするなど遠隔監視の充実を図っている. AI,IoT の技術も必要であるが,構成機械製品のブラシュアップも忘れてはならない. この特集にあたり,執筆各社の取りまとめを日立造船滑ツ境事業本部田中朝都氏にお願いした.各社執筆者とともに感謝します. |
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