掲載年 |
2020 |
巻(Vol.) |
49
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号(No.) |
4
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頁 |
225 - 229 |
記事種類 |
講座
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記事タイトル |
環境の分析技術・データ解析・モデル化講座 U.環境のデータ解析・モデル化+システムダイナミクスと利用例 |
著 者 |
佐藤祐一 |
第1著者ヨミ |
SATOH |
第1著者所属 |
滋賀県琵琶湖環境科学研究センター |
要 旨 |
1.はじめに システムダイナミクス(以下「SD」と呼ぶ)はモデリング手法の一つである.様々な要素間の因果関係を常微分方程式で表現し,それを時間発展的に解いていくことで,環境や社会の複雑な関係を解析するときに用いられることが多い.その数式や考え方は極めてシンプルであるが,要素間の非線形な相互作用により,予想もしない結論を得られることのあるのが面白い点である.一方でモデル化する要素の選定に自由度が大きく,多少なりとも経験とセンスが必要である. SD は1956年にマサチューセッツ工科大学(MIT)のJ. W. Forrester によって考案された.当初は企業設計の手段として開発されたが,その後都市地域の成長と沈滞の解析に拡張し,さらに統合・発展させたものがSD である1).ローマクラブからの委託によりD. H. Meadows らは,これらの研究を基礎として,1972年に「成長の限界」2)という報告をまとめた.再生不可能な天然資源の枯渇,もしくは汚染の急激な増加により,成長が止まり,人口自体が減少していくという衝撃的な予測が,直後にストックホルムで開催された国連人間環境会議の議論に大きな影響を与えたことは,多くの読者がご存じだろう. 本稿はSD とその利用例について解説したものであるが,SD のみならずモデリングそのものになじみのない読者を対象としており,しばしば説明が冗長であったり,単純すぎる仮定を置いていることをご了解いただきたい.まず,SD をモデル化する際の基本について述べる.続いて,SDを環境問題で実装する際の簡単な定石を,湖沼水質モデルを例としてEXCEL で解析した事例を紹介する.このEXCEL ファイルは,環境技術学会のWeb サイト(https://www.jriet.net/)に掲載しているので,誰でもダウンロードして試してもらうことが可能である. キーワード:システムダイナミクス、成長の限界、湖沼水質モデル、最適化、EXCEL |
特集タイトル |
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特集のねらい |
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