「環境技術」2021年2号 記事情報

掲載年 2021
巻(Vol.) 50
号(No.) 2
76 - 
記事種類 特集
記事タイトル SOx 規制関連に係る海運業界での取組・対応・課題について
著 者 瀧澤 大、大森一司
第1著者ヨミ TAKIZAWA
第1著者所属 (一社)日本船主協会
要 旨 1.はじめに
 貿易貨物輸送の大半を担い国際貿易に欠かせない輸送手段である海運は,図1に示すとおり一度に大量の貨物を輸送できることから,他の輸送手段に比べて低コストかつ単位輸送当たりの環境負荷が小さく,環境にやさしいエコな輸送手段である.しかしその一方で,世界中で多数の船舶により膨大な貨物を輸送していることから,海運全体では環境に対して負荷を生じさせていることも否めない.また,世界経済の成長を背景に海上輸送の需要は増加傾向にあり,海運業界からの環境負荷が増加するおそれが指摘されていることも踏まえ,更なる環境負荷の低減に努めている.
 海運は,グローバルに事業が行われるため,各国の海運会社が公正に自由競争を行うためには,国や地域のルールではなく世界共通のルールが必要となる.そのため,IMO(国際海事機関/International Maritime Organization)において海運に関する国際ルールを策定し,各国の海運会社が運航する船舶はIMO による共通のルールに従っている.大気汚染については,「船舶による汚染防止のための国際条約(MARPOL 条約/International Convention for the Prevention ofPollution from Ships)」の付属書VI により船舶からの硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)の排出が規制されており,段階的な排出削減が定められるとともに,より環境にセンシティブで海岸に近接している地域は排出規制区域(ECA/Emission Control Area)として指定され,より厳しい要求が適用されている.
 SOx 規制については,欧米諸国の二酸化硫黄(SO2)排出量は1970年代をピークに減少していたものの,中国,東南アジア,中東,太平洋諸国におけるSOx 排出量は増加傾向にあったことから,2000年頃からIMO において対応検討が始まった.本稿では,2020年1月から開始したSOx規制強化に係る海運会社の取組・対応および今後の課題を中心に解説する.
キーワード:硫黄酸化物,海運,IMO,MARPOL 条約,低硫黄燃料油
特集タイトル 船舶を取り巻く排ガス規制の動向と技術開発
特集のねらい