「環境技術」2021年3号 記事情報

掲載年 2021
巻(Vol.) 50
号(No.) 3
176 - 176
記事種類 編集後記
記事タイトル 編集後記
著 者 三浦雅彦
第1著者ヨミ みうら
第1著者所属 叶_鋼環境ソリューション
要 旨 日本の近代の下水道の歴史を振り返ると,本格的な下水道の整備は,昭和30年頃からの産業発展に伴う工場等の排水による河川や海などの水質汚濁が顕著となったため始まりました.子供の頃,汚れている川や赤潮のニュースをよく見た記憶があります.その後,昭和45年に下水道法が改正され,下水道が公共用水域の水質保全を担うこととなり,下水道普及率の上昇とともに河川や海の水質も改善されて来ました.本号には「持続可能な瀬戸内海は実現できるか」とのテーマで,3編の特集記事を掲載いたしました.多種多様な因子が関連した瀬戸内海の環境を一概に括ることはできませんが,キレイさを求めるあまり,河川・陸からの栄養塩供給が小さくなりすぎて海洋生物が減少したことが大きな流れと考えます.このような状況への対策のひとつが栄養塩管理施策であり,規制値を見据えながら,除去一辺倒でなく,水環境の生物種との共栄を考えて排水処理することであり,発想の転換に時代の変化を感じます.
□筆者の開発グループでは,生物学的試験(バイオアッセイ)を活用した浸出水処理施設の維持管理技術の開発を進めています.化学分析結果とともに,浸出水の生物影響を評価できるバイオアッセイを併用することで,各種規制物質の過剰な除去を抑え,浸出水処理施設の省エネルギー・低コスト化と安心の両立を達成できました.また,バイオアッセイは化学分析より高感度であり,状況変化の予兆を早く検出できることから,効果的な維持管理につながるとともに,わかりやすさから周辺住民とのリスクコミュニケーションへの活用を期待しています.どちらの環境技術も,人間中心でなく,より寛容で環境全体の多様性を認める方向に開発が進むことを期待します.
特集タイトル
特集のねらい